ピンクの5枚目のアルバムにして最後のオリジナル・アルバムとなってしまった「レッド・アンド・ブルー」です。ピンクは本作をもって活動を「凍結」します。「凍結」の意味はまだバンドの契約が残っていたからだそうで、実際には普通に解散です。
本作品は変則的な構成になっています。全部で9曲収録されていますけれども、ピンクのメンバー全員が揃って制作されたのは1曲のみで、残りの8曲は各メンバーがそれぞれセルフ・プロデュースで制作した音源から出来ています。
まるでビートルズの「ホワイト・アルバム」のような作られ方だといえます。そのそれぞれぶりは徹底しており、アルバムを聴くまで他のメンバーの楽曲がどうなっているのか知らなかったそうです。もはやバンドとしての実体がなくなっていたということなのでしょう。
バンドとしての1曲は冒頭の「ベルリンは宇宙」で、この曲は前作「サイバー」制作時の曲だそうです。そのため、「サイバー」発表後に脱退したパーカッションのスティーヴ衛藤も含めた6人が揃って制作に臨んでいます。ピンク最後のバンド録音です。
残りは大きく分けると、福岡ユタカ、ホッピー神山、岡野ハジメの3つのプロジェクトに分かれています。1曲、矢壁アツノブと福岡の共作があるのですが、それは一応福岡プロジェクトに分類しておけばよさそうです。福岡の曲が半分以上を占めるバランスです。
福岡の楽曲にはゲストとして、BANANAや窪田晴男、グレッグ・リーが参加しており、わざわざピンクの他のメンバーを外したような形で徹底しています。岡野はホッピーの曲ではベースを弾いているそうで、それを聞くと何だかほっとしますね。
アルバムのタイトルには全体のまとめ役とされるムーン・レコードの佐々氏が説明するところの、「赤は肉体的なもの、BLUEはクールな知的な部分。それが混然一体となったのがPINKだ」という会社側の熱い思いが込められている模様です。
このタイトルにはもう一つ説があり、オランダのデザイナー、ヘーリット・トーマス・リートフェルトの代表作「赤と青の椅子」に由来するというものです。ただこちらはこのジャケットからは分かりません。その椅子をジャケットにすることを考えていたと聞いて初めて納得できます。
アルバムは三つのプロジェクトが並存していると聞けば、バンドとしてはどうなのと思わざるを得ませんが、知らなければ普通にピンクらしいかっこいい作品だと思います。各楽曲はそれぞれがかっこいいですし、通して聴いても何ら違和感はありません。
硬質な響きはそのままに、クールでありながら肉体的なサウンドを聴かせるピンクは1990年代を目前に控えた時期の日本のロックの最先端ではありました。メンバー各人の力量からいえばこのまま各自が楽曲を持ち寄ってアルバムを作り続けることもできたでしょう。
しかし、それこそバンドって何?ということになるのでしょう。ピンクに箱としてこだわるほどには名前が売れていたわけでもありませんから、メンバーそれぞれの方向性が異なるとなれば、やはり解散するしかなかったのでしょう。ちょっとさみしいですけれども。
Red & Blue / Pink (1989 ムーン)
参照:PINKの断片
Tracks:
01. ベルリンは宇宙
02. Story
03. 小さな男の大きな夢
04. August Moon
05. 水の絆
06. What Can I Say
07. Rolling Stone
08. Earth Fall
09. Icon
Personnel:
福岡ユタカ : vocal, guitar, keyboards
矢壁アツノブ : drums, vocal
ホッピー神山 : keyboards, vocal, guitar
岡野ハジメ : bass, vocal, keyboards, guitar
逆井オサム : guitar
***
Banana : keyboards
窪田晴男 : guitar
Greg Lee : bass
スティーヴ衛藤 : tanbourine
本作品は変則的な構成になっています。全部で9曲収録されていますけれども、ピンクのメンバー全員が揃って制作されたのは1曲のみで、残りの8曲は各メンバーがそれぞれセルフ・プロデュースで制作した音源から出来ています。
まるでビートルズの「ホワイト・アルバム」のような作られ方だといえます。そのそれぞれぶりは徹底しており、アルバムを聴くまで他のメンバーの楽曲がどうなっているのか知らなかったそうです。もはやバンドとしての実体がなくなっていたということなのでしょう。
バンドとしての1曲は冒頭の「ベルリンは宇宙」で、この曲は前作「サイバー」制作時の曲だそうです。そのため、「サイバー」発表後に脱退したパーカッションのスティーヴ衛藤も含めた6人が揃って制作に臨んでいます。ピンク最後のバンド録音です。
残りは大きく分けると、福岡ユタカ、ホッピー神山、岡野ハジメの3つのプロジェクトに分かれています。1曲、矢壁アツノブと福岡の共作があるのですが、それは一応福岡プロジェクトに分類しておけばよさそうです。福岡の曲が半分以上を占めるバランスです。
福岡の楽曲にはゲストとして、BANANAや窪田晴男、グレッグ・リーが参加しており、わざわざピンクの他のメンバーを外したような形で徹底しています。岡野はホッピーの曲ではベースを弾いているそうで、それを聞くと何だかほっとしますね。
アルバムのタイトルには全体のまとめ役とされるムーン・レコードの佐々氏が説明するところの、「赤は肉体的なもの、BLUEはクールな知的な部分。それが混然一体となったのがPINKだ」という会社側の熱い思いが込められている模様です。
このタイトルにはもう一つ説があり、オランダのデザイナー、ヘーリット・トーマス・リートフェルトの代表作「赤と青の椅子」に由来するというものです。ただこちらはこのジャケットからは分かりません。その椅子をジャケットにすることを考えていたと聞いて初めて納得できます。
アルバムは三つのプロジェクトが並存していると聞けば、バンドとしてはどうなのと思わざるを得ませんが、知らなければ普通にピンクらしいかっこいい作品だと思います。各楽曲はそれぞれがかっこいいですし、通して聴いても何ら違和感はありません。
硬質な響きはそのままに、クールでありながら肉体的なサウンドを聴かせるピンクは1990年代を目前に控えた時期の日本のロックの最先端ではありました。メンバー各人の力量からいえばこのまま各自が楽曲を持ち寄ってアルバムを作り続けることもできたでしょう。
しかし、それこそバンドって何?ということになるのでしょう。ピンクに箱としてこだわるほどには名前が売れていたわけでもありませんから、メンバーそれぞれの方向性が異なるとなれば、やはり解散するしかなかったのでしょう。ちょっとさみしいですけれども。
Red & Blue / Pink (1989 ムーン)
参照:PINKの断片
Tracks:
01. ベルリンは宇宙
02. Story
03. 小さな男の大きな夢
04. August Moon
05. 水の絆
06. What Can I Say
07. Rolling Stone
08. Earth Fall
09. Icon
Personnel:
福岡ユタカ : vocal, guitar, keyboards
矢壁アツノブ : drums, vocal
ホッピー神山 : keyboards, vocal, guitar
岡野ハジメ : bass, vocal, keyboards, guitar
逆井オサム : guitar
***
Banana : keyboards
窪田晴男 : guitar
Greg Lee : bass
スティーヴ衛藤 : tanbourine