ロキシー・ミュージックの初のライヴ・アルバムです。その名も「ヴィヴァ・ロキシー・ミュージック」!ビデオ画面を切り取ったジャケットが秀逸です。またまたこのセンスに脱帽したものです。ロキシーのビジュアル・チームはいつも良い仕事をします。

 アルバムで注目したいのはアンコールを待つお客さんです。声を揃えて「ロキシー!」と叫んで直後にちゃちゃちゃと手拍子を入れます。再結成後の日本ツアーでもみんな真似しましたが、バレーボールの♪ニッポン!ちゃちゃちゃ」の元祖はこれではないかと思う次第です。

 驚くべきことにロキシー・ミュージックはそのライヴにも定評がありました。奇妙な音響効果のみならず変なアレンジの楽曲ばかりでしたから再現しずらいでしょうし、そもそもメンバーはあまり楽器が得意ではなかったはず。それなのにライヴが凄いというのです。

 しかし、ライヴは確かに見事でした。ビデオを先に見ていたのでビジュアル面はもとより心配ありませんでしたが、レコードで聴いてみるとそのサウンドも見事でした。それに奇矯な曲たちもしっかりと普通にロックっぽい演奏となっています。変なバンドではない正統派です。

 さて、本作品は1973年11月、1974年11月、1975年10月と三年間のライヴが一枚に凝縮されています。メンバーはブライアン・フェリー、フィル・マンザネラ、アンディ・マッケイ、ポール・トンプソンにエディー・ジョブソンの5人、どのライヴでも同じです。

 問題はベースです。四人もの名前がクレジットされています。この謎解きが楽しいです。どうやら1973年が後にスパークス入りするサル・メイダ、1974年がキング・クリムゾンで有名なジョン・ウェットン、1975年がアルバムでお馴染みのジョン・グスタフソンのようです。

 フランプトンズ・キャメルに在籍していたリック・ウィルスの名前もクレジットされていますが、ウィルスがグスタフソンの後任としてステージに立ったのは75年11月からです。微妙に重なっていません。ウィルスはこの後ツアーを共にしますから敬意を表しての記載でしょうか。

 アルバム収録曲はもちろんお馴染みの曲ばかりではありますけれども、シングル・カットされた曲はさほど多くはなく、むしろ地味な曲が多いです。「ボーガス・マン」、「チャンス・ミーティング」、「イフ・ゼア・イズ・サムシング」、「イン・エヴリー・ドリーム・ホーム・ア・ハートエイク」。

 こんなスタジオ作ならではの楽曲をライヴで力強く表現するのですから凄いです。フェリーさんの体臭がむんむん漂ってきます。ジャケット写真は最後のサイレン・ツアーのもので、ビデオにもなりました。GI姿のフェリーさんが腰をくねらせてねっとり歌う姿がまぶしいです。

 本作品はスタジオでかなり手が加えられているとの説もありますが、ライヴらしいラフさもかなり残されており、繊細に音を重ねるというよりも勢いでわーっと押してくる魅力があります。ジョブソンのバイオリンも全編にわたってライヴらしい活躍ぶりです。

 本作品はロキシーが活動休止宣言を行った後で発表されました。これを聴いてますますライヴを見たくなったにもかかわらず、諦めるしかないと自分に言い聞かせていましたら、何とわずか3年足らずの期間をへて日本公演が実現したのでした。狂喜乱舞!

Viva! Roxy Music / Roxy Music (1976 Island)

*2013年2月28日の記事を書き直しました。



Tracks:
01. Out Of The Blue
02. Pyjamarama
03. The Bogus Man
04. Chance Meeting
05. Both Ends Burning
06. If There Is Something
07. In Every Dream Home A Heartache
08. Do The Strand

Personnel:
Bryan Ferry : vocal, keyboards
Andy Mackay : sax, oboe
Paul Thompson : drums
Phil Manzanera : guitar
Eddie Jobson : strings, synthesizer, keyboards
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John Wetton, John Gustafson, Rick Wills, Sal Maida : bass
The Sirens : chorus