レスター・ボウイは1999年11月に58歳の生涯を閉じました。アート・アンサンブル・オブ・シカゴは1993年にジョセフ・ジャーマンが脱退した後も、4人で活動を続けてきましたが、ボウイの死でついに3人組となってしまいました。まだ若いのに残念です。
本作品は3人組となったアート・アンサンブル・オブ・シカゴがボウイを偲んで制作したアルバム「レスター・ボウイに捧ぐ」です。録音は2001年、発売は2003年、ECMからアルバムを発表するのは実に18年ぶりとなります。トリビュートらしいですね。
トリビュートらしく三人によるボウイへの言葉が書かれています。ロスコー・ミッチェルは彼らしく短い言葉でボウイに感謝の辞を贈っています。マラカイ・フェイバースはボウイと初めて会った時のエピソードを披露し、さらにボウイの人となりを紹介しています。
ボウイはバンド一の人気者であると同時に頼りになるアーティストだったこと、フェイヴァースとの熱いディベートから「グレイト・ブラック・ミュージック」の言葉が生まれたこと、ボウイがみんなでアフリカに行こうと提案したけれども、結局一人で行かざるを得なかったことなどなど。
ドン・モイエもエピソード・トークです。ボウイがルイ・アームストロングが偶然通りかかったときのために窓を全開にして練習していたこと、グレイト・ブラック・ミュージックに高いレベルでコミットできなければすぐに去るように申し渡されたことなど、ボウイの人柄が偲ばれます。
しかし、さすがはAEC、もちろん本作品のサウンドこそが圧倒的に素晴らしいトリビュートになっています。5人組のころの分厚いサウンドが3人になってどうなるのかと思いましたけれども、力量のある三人のこと、そんな疑問は全くの杞憂でした。
冒頭の「サングレディ」はAECの特徴とも言えるパーカッションのアンサンブルで始まります。三人のパーカッションがアルバムの始まりを告げると、サウンドは次第に盛り上がっていきます。ただし、最後は鐘の音で閉じるところが物悲しいです。
続く曲はミッチェルによる「スイート・フォー・レスター」です。三部構成になっており、ストレートにボウイの死を悼むかのようなサックスとフルートが美しいです。生前のボウイとの交流への喜びを表現するような穏やかで美しいフレーズが耳に残ります。
アルバムはボウイの曲「ゼロ」とミッチェルの有名曲「オルターネイト・ライン」のメドレーへと続きます。ここでのミッチェルのサックスはまるでトランペットのようです。そして、AECとしてのごく初期の作品「ツタンカーメン」をリフレッシュしてAECの現在を示します。
後半の長尺の2曲はいずれもトリオ全員が作曲者にクレジットされた作品です。「アズ・クリア・アズ・サン」ではミッチェルの循環呼吸法による長時間のサックスが披露されます。聴いているこちらまで息が苦しくなる驚きの演奏です。トリオのアンサンブルもまた凄い。
最後に「彼は夢の中で語りかける」とトリビュートらしいタイトルをつけられたパーカッション・アンサンブルを中心とした楽曲でアルバムは幕を下ろします。充実したサウンドなのにボウイの不在を感じさせるという恐ろしく難しいことを難なくやってのけた素晴らしいアルバムです。
Tribute To Lester / Art Ensemble Of Chicago (2003 ECM)
見当たらず。
Tracks:
01. Sangaredi
02. Suite For Lester
03. Zero / Alternate Line
04. Tutankhamun
05. As Clearr As The Sun
06. He Speaks To Me Often In Dreams
Personnel:
Roscoe Mitchell : alto, tenor, soprano, sopranino and bass sax, flute, whistles, percussion cage
Malachi Favors Maghostut : double bass, bells, whistles, gongs
Famoudou Don Moye : drums, congas, bongos, counsel drums, bells whistles, gongs, chimes
本作品は3人組となったアート・アンサンブル・オブ・シカゴがボウイを偲んで制作したアルバム「レスター・ボウイに捧ぐ」です。録音は2001年、発売は2003年、ECMからアルバムを発表するのは実に18年ぶりとなります。トリビュートらしいですね。
トリビュートらしく三人によるボウイへの言葉が書かれています。ロスコー・ミッチェルは彼らしく短い言葉でボウイに感謝の辞を贈っています。マラカイ・フェイバースはボウイと初めて会った時のエピソードを披露し、さらにボウイの人となりを紹介しています。
ボウイはバンド一の人気者であると同時に頼りになるアーティストだったこと、フェイヴァースとの熱いディベートから「グレイト・ブラック・ミュージック」の言葉が生まれたこと、ボウイがみんなでアフリカに行こうと提案したけれども、結局一人で行かざるを得なかったことなどなど。
ドン・モイエもエピソード・トークです。ボウイがルイ・アームストロングが偶然通りかかったときのために窓を全開にして練習していたこと、グレイト・ブラック・ミュージックに高いレベルでコミットできなければすぐに去るように申し渡されたことなど、ボウイの人柄が偲ばれます。
しかし、さすがはAEC、もちろん本作品のサウンドこそが圧倒的に素晴らしいトリビュートになっています。5人組のころの分厚いサウンドが3人になってどうなるのかと思いましたけれども、力量のある三人のこと、そんな疑問は全くの杞憂でした。
冒頭の「サングレディ」はAECの特徴とも言えるパーカッションのアンサンブルで始まります。三人のパーカッションがアルバムの始まりを告げると、サウンドは次第に盛り上がっていきます。ただし、最後は鐘の音で閉じるところが物悲しいです。
続く曲はミッチェルによる「スイート・フォー・レスター」です。三部構成になっており、ストレートにボウイの死を悼むかのようなサックスとフルートが美しいです。生前のボウイとの交流への喜びを表現するような穏やかで美しいフレーズが耳に残ります。
アルバムはボウイの曲「ゼロ」とミッチェルの有名曲「オルターネイト・ライン」のメドレーへと続きます。ここでのミッチェルのサックスはまるでトランペットのようです。そして、AECとしてのごく初期の作品「ツタンカーメン」をリフレッシュしてAECの現在を示します。
後半の長尺の2曲はいずれもトリオ全員が作曲者にクレジットされた作品です。「アズ・クリア・アズ・サン」ではミッチェルの循環呼吸法による長時間のサックスが披露されます。聴いているこちらまで息が苦しくなる驚きの演奏です。トリオのアンサンブルもまた凄い。
最後に「彼は夢の中で語りかける」とトリビュートらしいタイトルをつけられたパーカッション・アンサンブルを中心とした楽曲でアルバムは幕を下ろします。充実したサウンドなのにボウイの不在を感じさせるという恐ろしく難しいことを難なくやってのけた素晴らしいアルバムです。
Tribute To Lester / Art Ensemble Of Chicago (2003 ECM)
見当たらず。
Tracks:
01. Sangaredi
02. Suite For Lester
03. Zero / Alternate Line
04. Tutankhamun
05. As Clearr As The Sun
06. He Speaks To Me Often In Dreams
Personnel:
Roscoe Mitchell : alto, tenor, soprano, sopranino and bass sax, flute, whistles, percussion cage
Malachi Favors Maghostut : double bass, bells, whistles, gongs
Famoudou Don Moye : drums, congas, bongos, counsel drums, bells whistles, gongs, chimes