巨匠サム・ペキンパー監督の「ワイルドバンチ」に想を得たといわれるジャケットが素敵です。ポール・ロジャースは法被を着て、日本手ぬぐいの鉢巻きをしています。お神輿をかつぐアウトローでしょうか。ロジャースの日本びいきもここに極まりました。

 バッド・カンパニーの一年ぶりの四作目「バーニン・スカイ」です。バンドの公式サイトに掲載されたバイオグラフィーを見ると、本作品に関しては、「『バーニン・スカイ』は、ムーディーで雰囲気のあるタイトル曲とあいまって、1977年にゴールド・ステイタスを獲得した」とあります。

 わずか1行の記述です。他のアルバムには結構な分量が費やされているにも係わらずです。確かにこの作品は英米のヒット・チャートでも初めてトップ10入りを逃しましたから、彼らの基準で言えば失敗作です。とはいえ公式サイトの扱いはあまり感心しませんね。

 本作品からは2曲がシングル・カットされ、タイトル曲が78位ではありますが全米チャート入りしました。アルバムでは冒頭に配されており、このアルバムを名実ともに代表する曲になっています。見開きジャケットを開くと、確かに空も燃えています。

 ロジャースはこの曲について、レコーディング・セッションにとにかく曲が必要だということで、コードは書いてみたものの、歌詞が全くできていない状況でスタジオ入りして、ともかくも演奏を始め、♪スカイ・イズ・バーニン♪といきなり歌い出したと語っています。

 そうして、なんとワンテイクで曲を録り切ったのだそうです。歌詞は完全に即興だということになります。神がかっています。曲には空が燃えている象徴として、雷の音が冒頭に添えられましたが、けっして派手ではない、渋くてかっこいいバッド・カンパニーは健在です。

 今回、この曲に始まり、ロジャースのボーカルの録音の仕方が前作までとは少し違います。前面に出てくるのではなく、エフェクトがかかったような渋めの声で少し引いた位置にあります。これもまた渋い。ストーンズのエンジニアのクリス・キムゼイの仕事でしょうか。

 アルバムの大半はタイトル曲のようにいつものバッド・カンパニーなのですが、いくつか変わったところがあります。一つは「ライク・ウォーター」と「エヴリシング・アイ・ニード」の間に挟まった曲「ナップサック」です。もともと隠しトラック扱いでした。

 この曲はみんなのうたにも登場した「ゆかいに歩けば」という曲です。戦後のドイツで作られた曲で、どういう意図があって収録したのかまるで不明です。自分たちで演奏しているわけでもなさそうですし。どちらかといえばすべってる感じですかね。

 それから作曲者がバンド全員となっている2曲、「マスター・オブ・セレモニー」とシングル・カットもされた「エヴリシング・アイ・ニード」が結構攻めています。それまでのバドカンらしくはない曲で新たな方向性を模索している姿がほの見えます。

 とはいえやはり彼らの魅力は土性骨のすわったシンプルな演奏です。粘っこいリズムを追っているだけで私は幸せです。マンネリだとの酷評もありますが、マンネリで結構です。派手さはありませんし、突き抜けていもいませんが、しみじみといいアルバムだなあと思います。

Burnin' Sky / Bad Company (1977 Swan Song)



Songs:
01. Burnin' Sky
02. Morning Sun
03. Leaving You
04. Like Water
05. Everything I Need
06. Heartbeat
07. Peace Of Mind
08. Passing Time
09. Too Bad
10. Man Needs Woman
11. Master Of Ceremony

Personnel:
Paul Rodgers : vocal, guitar, piano
Mick Ralphs : guitar, keyboards
Boz Burrell : bass
Simon Kirke : drums
***
Mel Collins : sax, flute
Tim Hinkley : keyboards