グリーン・デイの「2作目でインディーズ時代最後のスタジオ・アルバム」です。タイトルは「カープランク」です。デビュー作は1990年4月、この2枚目が1991年12月とパンク・バンドにしては少し時間がたっていますが、この間にEPを2枚出しています。まずは順調です。

 そのEPとデビュー作を合わせて出し直したのが、1991年10月ですから、このアルバムはそこからわずか2か月で発表されたとも言えます。インディーズ・バンドですから、そちらの方が実態に近いことでしょう。なんたってそもそも発売枚数が少ないですから。

 グリーン・デイは次の作品でメジャー・デビューしていきなり大ブレイクしますけれども、このインディーズ・アルバムもインディーズ界では大ヒットしています。本作品は発売初日に1万枚が売れたといいます。グリーン・デイの人気は界隈では沸騰していたわけですね。

 本作品ではドラマーとしてトレ・クールが初めて参加しました。これでビリー・ジョー・アームストロング、マイク・ダーント、トレ・クールという長年活動を共にするラインナップが完成しました。やはりメンバーが確定すると活動も勢いにのっていきます。

 さすがに3人組ですから一人でも交代するとサウンドは変わるものです。トレ・クールのドラムとマイクのベースのケミストリーは抜群でリズム・セクションは鉄壁になりました。シンプルなサウンドだけにリズム・セクションの果たす役割はとても大きいです。

 このリズム隊を得て、サウンドと一体化するビリー・ジョーの節回しがこれまた絶妙のコンビネーションをみせるようになりました。トリオの三人が一心同体で決して分割できないグリーン・デイのサウンド・スタイルが完成したように思います。

 「疾走感あふれるポップなパンクという持ち味」はすでにデビュー作でもはっきりしていましたが、ここではもはやそれを自家薬籠中の物として新たな実験も始めました。トレ・クールがボーカルとギターを担当し、ビリー・ジョーがドラムを叩く「ドミネイテッド・ラヴ・スレイヴ」です。

 もう一つ「ワーズ・アイ・マイト・ハヴ・エイト」も変わった曲です。もはや堂々としてきました。しかもインディーズとはとても思えない録音の質の高さです。ボートラ収録のEP「スイート・チルドレン」はいかにもインディーズ品質なのですが、アルバム自体は立派なものです。

 いかにもインディーズっぽいのはジャケットです。この手書き風のジャケットがいいです。ちんぴらパンクっぽい感じが何ともいえません。若いパンクバンドはこうでなくてはいけません。何から何まで若者への訴求力がとても高いバンドです。

 アルバムは20年をかけて100万枚を売り上げています。次作以降の大活躍を反映しての数字ですけれども、アルバムの内容的にはミリオン・セラーの資格は十分にあると思います。なんたって楽しくてわくわくするパンク・サウンドですから。

 ボートラでザ・フーの「マイ・ジェネレーション」をカバーしています。彼らのカバーはかっこいいのですが、稀代の名曲もグリーン・デイの曲に混ざると時代を感じてしまいます。同じカテゴリーのサウンドですけれども、確実にグリーン・デイのサウンドは新しかったということです。

Kerplunk / Green Day (1991 Lookout)