「キング・オブ・ロック・バック!!」と明らかに間違っている宣伝文句と共に登場したオーディオスレイヴのセカンド・アルバムです。「衝撃のデビューから2年余り、これ以上のロックは存在しない・・・そう言わせてしまう激情アルバム遂に完成!!」です。

 待望していたアルバムは全米初登場1位を獲得して期待通りのヒットを記録しました。この年の1位アルバムはグリーン・デイの「アメリカン・イディオット」やコールドプレイの「X&Y」、システム・オブ・ア・ダウンなどロックの活躍が目立ちました。

 その中で真打ち登場ともいうべきオーディオスレイヴです。レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンとサウンドガーデンという二つの大人気ロック・バンドのメンバーからなるスーパー・グループとしてスタートしたオーディオスレイヴですから横綱級です。

 トム・モレロによれば、一度もライヴをすることなく制作に臨んだ前作とは異なり、一年半にわたってツアーをした後に制作した本作は「2枚目のレコードだけれど、バンドになってから初のレコード、一枚目のレコードとも言えると思うんだ」とのことです。

 それはファンにとっても同じです。一体どんなサウンドになっていることやらドキドキしながら聴いた人も多かったデビュー作とは異なり、ここではもはや「あのレイジとサウンドガーデンの」という形容詞は不要で、オーディオスレイヴの新作として接することができました。

 単身レイジに乗り込んだ形のクリス・コーネルも「オーディオスレイヴとしてオーディオスレイヴの曲をやってツアーして沢山のことを手にして来た」、「俺達がリハーサルしたり曲作ったりっていうのはもう楽しみでやってることで、仕事って感じじゃないね」と余裕です。

 こうしてバンドとしてのアイデンティティをみんなが語るということは、いかに葛藤があったのかということを垣間見せてもくれます。やはりスーパースターの地位に登りつめると大変です。がっぷり四つだとポール・ロジャースが加入したクイーンのようにはいきませんね。

 本作はバンド結成の仕掛け人ともいえるリック・ルービンがメンバーとともにプロデュースにあたっています。今回はリックの役割は前作よりも小さかったようですが、さすがに息のあった間柄で、余裕綽綽のサウンドを作り上げています。

 「今の俺達は本当にバンドになったんだ」とブラッド・ウィルクが語る通り、本作品に収録された曲の数々は前作以上にまとまりがあり、オーディオスレイヴ色というものが鮮明に出ているような気がします。全編、これ力強いハードなロックが展開していきます。

 シングルカットされた「ビー・ユアセルフ」がやはりアルバムを代表する曲でしょう。コーネルらしいメッセージを込めたロックです。この曲に限らずボーカル、ギター、ベース、ドラムスだけで全てのサウンドが出来ています。何と潔いことでしょう。

 この潔いロック・サウンドがオーディオスレイヴです。さすがは当代きってのロック・バンドだなあと発表当時はよく聴いたものです。ただし、私は前作が大好きなものですから、このアルバムを聴いた後は前作が聴きたくなってしまいます。難しいものです。

Out Of Exile / Audioslave (2005 Interscope)