クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、CCRのデビュー・アルバムです。ただし、日本では大ヒット曲「プラウド・メアリー」を含む二枚目のアルバムの方が先に発売されており、本作品は米国発売の1年後の登場でした。こっちを二枚目と認識していた人もいそうです。

 そんな扱いでスタートしたCCRですけれども、日本でも大いに人気のあるバンドです。それが証拠に何度も何度も再発されており、彼らのカタログがCDショップから消えたことはないのではないでしょうか。底堅いファン層を抱えています。

 正真正銘のデビュー・アルバムである本作に至るまでに、CCRの面々は10年にわたる下積み生活を送っています。西海岸のベイ・エリア出身の彼らが最初にバンドを組んだのは1958年のことでした。まだジョン・フォガティたちは高校生です。

 その後、何とか契約を結んでレコード・デビューしたのは1964年12月です。レーベルの意向でゴリウォッグスと名を変え、水玉模様のシャツに白いウィッグという、典型的なアイドル路線でのデビューです。CCRサウンドからは想像もできない話です。

 契約レーベルだったファンタジーの経営陣が代わったことから、アイドル路線と決別できた彼らはCCRと名義を変え、ようやく本作品でアルバム・デビューすることとなりました。セルフ・タイトルですけれども、日本ではヒット・シングル「スージーQ」を題名にもってきました。

 CCRの持ち味はギターとボーカルのジョン・フォガティ、ベースのステュ・クック、ドラムのダグ・クリフォードの同級生トリオに、ジョンの兄トム・フォガティが加わった四人編成が織りなす武骨なゴリゴリのロックです。ウィッグをかぶっていたとは全く思えません。

 デビュー作の一曲目からその魅力は全開です。ブルース歌手スクリーミング・ジェイ・ホーキンスのヒット曲「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」のカバーですが、これが凄い。ジョンのド迫力の歌声が、武骨なリズムと相まって度肝を抜かれます。

 後にシングル・ヒットを連発するCCRですが、本作にはカバー曲が全部で3曲含まれており、そのどれもが素晴らしい。まずシングル・ヒットしたのはロカビリー歌手デイル・ホーキンスの「スージーQ」です。先行シングルとして発表され全米11位の大ヒットとなりました。

 この曲は何と8分半もあります。時は1968年、場所はベイ・エリア、ということはこの時代はサイケデリック真っただ中です。長い方がラジオでオン・エアされやすいという時代でした。力強いリズム・セクションにサイケデリックな仕掛けが満載でぐいぐい引き込まれます。

 オリジナル曲はまだそれほど目立っていませんが、テープの逆回転を使ったりしてサイケデリックにも手を染めつつも、シンプルなロックが聴こえてきます。アナログ万歳と叫びたくなるような土性骨の座った大ロック大会は素晴らしいです。

 「ダイ・ハード」の中でもCCRはおっさんロックの代表のように扱われていましたが、おっさんロックで何が悪い。ここまですっきりと潔いロックはなかなかありません。何があってもロック・バンドは永遠だと宣言しているような素晴らしいバンドです。

Creedence Clearwater Revival / Creedence Clearwater Revival (1968 Fantasy)