ゴー・トゥ・ザ・ベッズ、略称GTTBは、WACK所属のアイドル・グループ、ギャング・パレードが分裂して出来たグループです。ギャンパレは最後9人組でしたが、カミヤサキが脱退して8人、そのうち5人がGTTB、残りの3人+WAggのキラ・メイがパラダイセズになりました。

 ゴー・トゥ・ザ・ベッズにしてもパラダイセズにしても不思議な英語です。パラダイスは複数ではあまり使わないし、ゴー・トゥ・ベッドならぬGTTBは何とも不思議な語感です。WACKらしいといえばWACKらしい。

 この分裂劇は、ギャング・パレードが今一つ突き抜けられないから打った手だそうです。安定のBiSHを除くと、WACK所属のアーティストは、短期間で成果をあげないと、いろんなことをさせられるので大変です。GTTBは無人島生活までやってましたね。

 このアルバムはGTTB初のフル・アルバムです。これ以前にパラダイセズとのスプリットアルバムがリリースされていますので、初お目見えというわけではありませんけれども、やはりデビュー・アルバムらしい力の入りようで、何だか初々しい感じがします。

 メンバーはギャンパレ歴が5年になるヤママチミキとユメノユア、2016年1月加入のキャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソンの5人です。いろいろメンバー変更があるよりも、こうして初期からギャンパレを支えた5人となった方が良かったかもしれません。

 ヤママチミキとユメノユアはWACKのシャッフル・ユニット、セイント・セックスのメンバーでもありました。このグループの曲の中で、BiSHのアイナ・ジ・エンドと堂々と渡り合ってひけをとらないヤママチミキのボーカルに惹かれたので、私は断然GTTB推しとなりました。

 アルバムはコロナ禍の不自由な状況で制作されています。彼女たちの場合、何よりもステージをこなせなかったことが辛かったのではないでしょうか。観客の前で自分たちの個性を確立していくのがWACKのアイドルたちの進む道ですから。

 そのうっぷんを晴らすようにすかっとした気持ちの良いアルバムになりました。楽曲制作はいつものようにスクランブルズで、作曲・プロデュースは松隈ケンタです。ただし、最後の曲「VILLAIN」のみ、スクランブルズのリリちゃんの作曲です。

 ギャンパレは必ずしもロックっぽくはありませんでしたが、GTTBは少しロックよりです。「GROOVE」のようなラップまじりのダンス・チューンもありますけれども、中心は昭和の香りが少しするロックっぽいサウンドです。私にはとてもしっくりきます。

 作詞はメンバーが頑張っています。松隈と渡辺淳之介のみによる曲は全12曲中3曲のみ。あとはメンバーが作っています。自分たちの言葉だと歌にも気合が入るのでしょうね。とても気持ちよさそうに歌っているのがいいです。

 WACKで唯一こぶしをきかせることを許されたヤママチミキのボーカルだけではなく、ユメノユアを始めとする各メンバーの表現力もなかなかのものです。しばらくはこのグループでしっかり活動していってほしいものです。

Go To The Beds / Go To The Beds (2020 ワーナー)