トーイングスは東京をベースに活動する日本の三人組です。メンバーはボーカルとギターのコニー・プランクトン、ベースのエリー、ドラムのユリカ。結成は2016年で、2019年暮れに発表されたセルフ・タイトルの本作品がアルバム・デビューとなります。

 コニー・プランクトン、面白いステージネームだと思っていたら、なんとコニー・プランクに肖ってつけたのだそうです。言われてみればそのまんまですけれども、そんなことは頭の片隅にもよぎりませんでした。何という爺殺しでしょう。俄然身近に感じるというものです。

 彼女がコニー・プランクに出会ったのは、Phewの曲がきっかけと言いますから、これまた嬉しい話です。そして私が彼女たちのことを知ったのは、つい先日、彼女たちがPhewと共演したからです。音楽はつながるものです。

 さらに私にとってうれしいことに、コニーは「The Fallはヒーローです。バンドにしか成せない奇跡。理想のパンク。」と発言しています。ここまで言われれば、ザ・フォール・ファンの私としてはトーイングスのアルバムを聴くしかないじゃありませんか。

 コニーとエリーは「タワーレコードのバイトで出会っ」ており、その「タワーレコードの仲間が、割とニューウェーブ、ポストパンクが好きで。」ということなのだそうです。親の影響もあるそうですが、自然な流れでニューウェイブの影響が奔出している模様です。

 もっとも彼女たちは「最初は海外の現行のインディーに憧れて」バンドを始めています。確かにディアフーフあたりのインディー・バンドのDIY的なサウンドが志向されているように感じます。そして、そもそもそうしたバンドは1980年代のニューウェイブと親和性が高いです。

 ただし、サウンドそのものが懐かしいというわけではありません。そもそも時代が隔たっているので技術の進歩でどうしてもサウンドが洗練されていますし、現在進行形のミクスチャー・タイプのオルタナティブ・ロックであることは間違いありません。

 それよりも嬉しいのは、この自由な感じです。ニューウェイブのあの解放感がトーイングスにも感じられるんですよね。「曲のテイストがばらばらなんです」という発言がありますが、そのばらばらな感じも自由を感じて素敵です。気負いがない。

 当時のバンドに比べるとすると、同じ3人組のザ・スリッツというより、私は素直にレインコーツと共通するものを感じました。ザ・スリッツは気負ったところがありましたが、ごくごく自然体だったのはレインコーツの方です。彼女たちも曲のテイストはばらけていましたし。

 彼女たちは海外のバンドのサポート・アクトを務めることが多いですし、海外での評価も高いバンドです。ボーカルは可愛らしい英語で歌っていますから、言葉の壁もありませんし、飄々としてからっとしたサウンドが何とも無国籍です。

 滲んだ写真を使ったジャケットも秀逸ですし、歌詞カードに写っているナイフの刃に刻まれた模様もかっこいいです。そんなジャケットを眺めながら、先行シングル「水仙」を始めとする佳曲揃いのアルバムを聴いていると、何だか胸がきゅんきゅんします。いいバンドです。

参照:Subculture , TAWINGSインタビュー(QETIC)

Tawings / Tawings (2019 AWDR/LR2)