メジャーとインディーズの区分が今一つ分かっていませんが、ともかくこの作品はギャング・パレードのメジャー・デビュー・アルバムです。メジャー中のメジャー、ワーナーからの発表です。これまでの3枚のアルバムは一応インディーズ扱いということのようです。

 ここでのギャング・パレードは10人組です。4月にメジャー・デビュー・シングル「ブランニューパレード」を発表した時には9人組、そこにナルハワールドが新たに加入して10人組になって本作「「ラブ・パレード」を制作しました。

 なお、本作品発表後ハルナ・バッ・チーンが脱退し、また9人組に戻りました。メンバーを並べると、カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、ハルナ・バッ・チーン、ナルハワールドです。

 名前が面白いのでつい並べてしまいます。しかし、山海塾仕様の白塗りに分厚い唇をつけた全員が並ぶジャケット写真からは誰が誰なのかよく見ないとよく分かりません。すぐ分かるのは坊主頭がトレードマークのカミヤサキと眼鏡のユイ・ガ・ドクソンくらいです。

 ギャング・パレードは成り立ちからして唯一のオリジナル・メンバーのカミヤサキが中心ではあるもの、歌割などで中心となるメンバーは明らかではなく、全員が比較的平等に歌っています。結構名前に負けず個性的なメンバー揃いなので、白塗りをよく見て勉強しましょう。

 ギャンパレは名前からしてもかつてのユニフォームからしても、てっきり時代物のスケバン的なコンセプトだと思っていたのですが、メジャー・デビューの本作品ではそんなことは全然ありませんでした。WACKなのにむしろハロプロ的なイメージすら感じます。

 WACKのアーティストらしく、サウンド・プロデュースは松隈ケンタで、各楽曲のトラック・デザインは松隈率いるスクランブルズのメンバーが担当しています。BiSHやBIS、エンパイヤと同じ布陣ですが、やはりそれぞれに個性が色濃く出てくるのが面白いです。

 作曲は松隈、作詞ではメンバーも活躍しており、ユメノユアが2曲、テラシマユウカ、ココ・パーティン・ココ、新加入のナルハワールドがそれぞれ1曲ずつ担当しています。中ではユメノユアの「レディー・ゴー」が面白いです。本人の思惑通り、歌詞カードを見てびっくりしました。

 ちょっと変態な歌詞の「ラブ・コミュニケーション」やら、ハロプロっぽいとメンバーも認める「ウェイク・アップ・ビート」やら、ビリー・アイリッシュのような「フェイク・アンド・ファンタジー」、かわいらしい「プラスティック・スマイル」、ゴリゴリの「ポイズン」など曲調はさまざまです。

 しかし、本作はカミヤサキが「いままでのアルバムでいちばん一貫性のあるコンセプト」だと語る通り、不思議と統一感のあるアルバムです。コンセプトはもちろん愛でしょう。愛にあふれたアルバムはとにかく楽しそうです。そこが一番です。

 本作品には先行シングルの「ブランニューパレード」を10人で再録したバージョンも入っています。丁寧なアルバムづくりはWACKならでは。あれやこれやでオリコン・チャート2位になっています。カミヤサキの脱退が迫っていますが、今後の活躍も期待したいです。

参照:「bounce 432」出嶌孝次(タワーレコード)

Love Parade / Gang Parade (2019 ワーナー)