比較的コンスタントにアルバムを発表するオールターナティヴTVですけれども、なかなかリリースのニュースが届かないのが玉に瑕でした。いくつかのHPも短命に終わっており、苦労しましたが、今ではフェイスブックが公式情報源になりました。ひとまず安心です。

 本作品は2001年に発表されました。この時のメンバーは、ATVそのものであるマーク・ペリーに加えて、ギターでタイロン・トーマス、ベースにプロデュースも担当するグラハム・ヒューレット、ドラムのジョン・アイザックの四人です。

 ブックレットではばりばりギターを弾いているマークの写真が掲載されていますが、クレジットではボーカルとパーカッションとのみ書いてあります。少なくとも録音中はボーカルに専念していたということなのだろうと思います。小さくまとまったユニットです。

 本作の収録曲はボーナス2曲を除くと12曲です。このうちのちょうど半分、6曲は過去の曲を新しいメンバーで再録音したものです。デビュー・アルバムの「イメージ・ハズ・クラックト」から「グッド・タイムズ」、マークのソロ「スナッピー・ターンズ」から「アット・ウォー」。

 1990年の「ドラゴン・ラヴ」から2曲、それにライヴ・アルバムにのみ入っていた初期の曲が「アーバン・キッズ」と「トータル・スウィッチ・オフ」の2曲です。この2曲は正式なスタジオ録音としては初めてですから、まずはめでたい話です。

 新発表曲6曲のうち、アルバム・タイトルに選ばれたのは「レヴォリューション」ですけれども、過去曲の再録が含まれていること、サウンドがストレートなロックン・ロールになっていることを考えると、よりアルバムのテーマを表しているのは「バック・トゥ・ベイシックス」でしょう。

 歌詞カードの封入には反対だとかつてはっきり言っていたマークですが、この作品ではブックレットに全曲の歌詞が掲載されています。全体に憂鬱な歌詞が並んでおり、「バック・トゥ・ベイシックス」も例外ではありません。

 ♪この新しい男の子は歳をとって太ってしまった、オールターナティヴは単なる言葉であっちゃならない、時とともに去っていくものと考えちゃいけない、お前の未来は自分で作るんだ、基本に戻れ♪というフレーズがアルバムを象徴しているように思います。

 サウンドはベーシックなロックンロールです。マークは、この頃のインタビューで、いつもは1970年代の曲を聴いていると答えており、それが素直に腑に落ちるサウンドです。もっとも、同時にホワイトハウスなどのノイズ系やデス・メタルも聴いていると言ってますが。

 初期の頃に持ちあわせていたエクスペリメンタルな側面はその名残を残しつつも、基本に立ち返って開き直ったようなストレートなロックン・ロールです。弾き語りが似合う場合もあったペリーさんですが、ここではしっかりとバンド・スタイルで、ライヴ感が溢れています。

 しかし、歌詞はさすがに脳天気なものではなくて、年輪と深みを感じさせます。さすがは言葉によるパンクの大立者マーク・ペリーです。人生の歩みが音楽活動そのものとシンクロしている様子が感じられて、そのリアルさが際立ちます。いいアルバムです。

参照:trakMARX - Mark Perry

Revolution / Alternative TV (2001 Public Domain)