クリエイション・レベルの3枚目のアルバムです。まだレーベルはヒット・ラン、On-Uの前史に当たります。ヒット・ランはエイドリアン・シャーウッドとドクター・パブロのレーベルで、そのドクターはクリエイション・レベルのメンバーだという寸法です。

 クリエイション・レベルは1作目の「ダブ・フロム・クリエイション」を発表した後、ヒット・ラン・レーベルに「クロース・エンカウンター・オブ・ザ・サード・ワールド」という「未知との遭遇」を模したタイトルのアルバムを発表しています。

 さらにその中から「ビウェア」をシングル・カットし、12インチ・シングルを発表しました。この2枚の作品はその後もあまり陽の目を見ることがありません。何となく無視されてしまっているようで、それが残念です。この時期は皆にとって実験の日々だったのでしょう。

 その後、この「レベル・バイブレイション」が発表されます。デビュー作からわずか1年くらいの間だということを考えると、とても旺盛な創作意欲であることが分かります。このアルバムも「現在ではほとんど入手困難」となっており、CD再発は画期的なことでした。

 このアルバムでのレベル・クリエイションは6人のメンバーが係わっています。まずはレーベル創設者でもあるドクター・パブロ。この人はロンドン生まれなんだそうです。そして、ジャマイカで人気のあったルーツ・ラディクスからドラマーのスタイル・スコットが参加しています。

 スコットは後にOn-Uサウンドにとってなくてはならないアーティストになっていきます。そして、ギタリストのトニー・チン。スコットとトニーは後にニュー・ウェイブ界に大きな足跡を残したニュー・エイジ・ステッパーズに加入することになります。

 ベースはリザードと表記されています。前作ではクリントン・ジャックでしたが、最重要なベーシストですから、ここは同一人物ではないかと確証はないながらも思っています。そもそもジャケットにでかでかと書かれているのは彼ですから。

 キーボードのクリフトン・モリスは前作と同じです。そして新しくパーカッションでリッドンが加入しています。総計6人、裏ジャケットには6人のイラストが掲載されており、その中からベースのリザードが表面にも出ているというベース重視の宣言が見られます。

 本作品のプロデューサーは「ヒット・ラン・ダブ・シンジケート」とされており、エイドリアンが係わっていることはほぼ確実であろうかと思いますが、確証はないということになっています。On-Uサウンドではダブ・シンジケートが活躍するわけで、その前兆ともなる名前です。

 エイドリアンはこの作品と続く「スターシップ・アフリカ」を指して、「抑制されたリズムの構造を持つ、音の空間におけるユニークな可能性を駆使した、シリアスなエクスペリメンタル・プロジェクトとしての考えを見せることのできる、インストルメンタル・セットだった」と語ります。

 その通り、ここではダブの可能性を追求したOn-Uサウンドの原型が武骨に提示されていきます。隙だらけですけれども、それが気持ち良いことこの上ありません。ちなみにCD再発には2作目からの曲が6曲もボートラ収録されています。すっきり発表してくれればいいのに。

Rebel Vibrations / Creation Rebel (1979 Hit Run)