来ました。ジェイムズ・ブラウンの代表曲「アイ・ゴット・ユー(アイ・フィール・グッド)」です。この曲は、1965年11月にシングルとしてリリースされ、R&Bチャートでは6週連続1位を記録する大ヒットとなりました。メイン・チャートでも3位となっています。

 JBの中では最高位を記録した曲です。チャートにこだわり過ぎるのはなんですけれども、この曲はまさにJBの代表曲としてチャートを離れても人気も評価も高い名曲です。JBと言えば、この曲か♪ゲロッパ♪かどちらかという人が多いのではないでしょうか。私もそうです。

 ♪ワォ♪一発で始まる「アイ・ゴット・ユー」は、続くベース・ラインとドラム・サウンド、うねるホーンと、もうのっけから最高です。JBファンクの完成形とも言える名曲です。音数が比較的少ないアレンジも素晴らしく、それぞれの楽器が生き生きと唸っています。

 大変残念なのは、私にはJBの足さばきがまったく真似できないことです。この曲はあの足さばきをしながら聴くのが極上だと頭では分かっているのですけれども、身体が全くついていかない。返ってフラストレーションがたまります。

 さて、アルバムは例のごとく寄せ集めです。「アイ・ゴット・ユー」のシングルB面となった「アイ・キャント・ヘルプ・イット」のみが同じセッションでの録音で、それ以外の10曲はいずれも1959年から1962年までに録音されていた曲ばかりです。

 シングル・リリースされた曲が多いこと、別のアルバムにも収録されている曲があることも、この頃のJB所属のキング・レコードの方針からすれば不思議ではありません。これも「アイ・ゴット・ユー」にボートラを加えた拡大シングル盤だと捉えておけばよいと思います。

 この中には、JBのごく初期のシングル、「シンク」が含まれています。1960年にR&Bチャートで7位を記録した名曲です。もともとはレーベル・メイトの5ロイヤルズがヒットさせた曲ですけれども、このJB版は気合が入っていて素晴らしいです。

 さらに、目立つところでは「ナイト・トレイン」がいいです。半ばインストゥルメンタル曲で、全く関係のないさまざまなテレビ番組のBGMとしてよく使われていたように記憶しています。軽いファンク・ノリのカッコいい曲です。アルバム中での座りもいい。

 今回はアルバムの8曲目に「アイ・ゴット・ユー」のB面曲「アイヴ・ゴット・マネー」が収録されました。新生JBの楽曲として「アイ・ゴット・ユー」に続けなくてもよいのかと、心配してしまいましたけれども、この曲はちょっと変わった社交ダンス曲なので、ここでも違和感はありません。

 「アイヴ・ゴット・マネー」もファンクの先触れ曲の一つとされています。ただ、やはり「アイ・ゴット・ユー」とは断絶を感じます。やはり「アイ・ゴット・ユー」の恐ろしいまでの名曲ぶりには舌を巻きます。同じセッションでもっと録音してくれていればよかったのにと思います。

 この頃はまだファンクという言葉は誕生していなかったそうです。もちろん言葉はありましたが、音楽ジャンルに使われてはいなかった様子。新たなサウンドをもたらしたJBの功績はとても大きいです。すべてのファンクはJBの方を向いて恵方巻を食べるべきです。

I Got You (I Feel Good) / James Brown (1966 King)