メンバーのみならず音の方も美少年路線だったエドガー・ウィンター・グループは前作をもって一旦解散しました。まあ所詮はエドガー・ウィンターのグループですから解散と言っていいのかどうかは微妙なところです。

 しかし、それに続くアルバムはエドガーの最初のバンドであるホワイト・トラッシュの復活作となりました。メンバーの入れ替えではなく、バンド名を元に戻したところにエドガーの仲間たちに対する暖かい姿勢が感じられます。

 ジャケットに現れているのはむくつけき男ばかり、と思っていると、真ん中に美少年が座っています。誰でしょう。情報が少なくて名前が分かりませんけれども、風をあてて美少年ぶりを強調しているところをみると、やはり自慢だったんでしょう。

 グループの解散は路線の対立とかではなく、単に売れなくなったからというものだそうです。そこでエドガーが次の手として考えたのが、初期のバンド、ホワイト・トラッシュの復活です。アルバム・タイトルは「リサイクル」とかなり自嘲気味です。

 恐らくこちらの方がライブでの受けが良かったのでしょう。ポップ路線でテレビ受けするエドガー・ウィンター・グループよりも、ブルースを基調とした演奏でならしたホワイト・トラッシュの方がコンサート会場では映えることでしょう。

 戻ってきたのは、リード・ボーカルのジェリー・ラクロワを始めとする面々です。ジェリーはホワイト・トラッシュの後、短期間でしたがブラッド・スウェット・アンド・ティアーズにサックスとボーカルで参加しています。ちゃんと活躍しています。

 しかし、ドラムとベースのリズム・セクションは新メンバーですし、わずか5年ですけれども、完全なリユニオンというわけにはいきませんでした。また、グループからはダン・ハートマンがプロダクション・アシスタントとして参加し、ギターも少し弾いています。

 とはいえ、ハートマンが参加していることが信じられないくらいのホワイト・トラッシュぶりです。先祖返りのブルースをベースとしたご機嫌なロックン・ロールがこれでもかと炸裂するアルバムです。見事なバンド・サウンドです。

 エドガーとジェリー、それぞれの持ち味を発揮したボーカルを中心に、ギターよりもホーン・セクションが目立つサウンドで、ジャズやソウルの色が濃い。何よりもバンドが演奏を楽しんでいる様子が伝わるリラックスしたサウンドが楽しいです。

 シングル・カットされたのは「スティッキン・イット・アウト」です。大ヒットしたとは聞いていませんが、ソウルフルなサウンドはこのアルバムを象徴する一曲です。AORとディスコの時代にファンキーに取り組んだ名曲です。

 ボーカルを分け合ったことで、エドガーに余裕が生まれ、サウンド作りに専念できたのが勝因ということで、全米チャートでは89位と前作よりは売れました。しかし、やはり5年の月日は長い。「ロードワーク」の頃とはマーケットが変わっていました。力作なのに残念です。

Recycled / Edgar Winter's White Trash (1977 Epic)