ダン・ハートマン一世一代の名曲「リライト・マイ・ファイア」を含むアルバムです。当然、アルバム・タイトルも同じです。前作「インスタント・リプレイ」の路線を踏襲した上に、さらに純化して、どこからどう切ってもディスコなサウンドで埋め尽くされた名作です。

 と、手放しで褒めたいのですが、このジャケットはないわあ。これまでの3枚のアルバム、すべてジャケットがひどい。特にハートマンの写真を使った1作目と本作。もう少し何とかならなかったのかと悔やまれます。シングル盤のジャケットもとほほ感が強いです。

 ハートマンは前作以降、シングル盤「ブギー・オール・サマー」を挟んで、「リライト・マイ・ファイア」を発表しました。シングル・カットされて全米ディスコ・チャートで1位に輝いたタイトル曲はクラブ・クラシックスになっています。

 この曲がディスコで流行っているのを知った時に、アーティスト名を二度見三度見してしまいました。まだ前作の存在を知らなかった時ですから、あのポップの極みなロックンロール男がディスコ・ヒットの訳がないと思い込み、同一人物であるとは信じられませんでした。

 しかし、聴いてみると、あのダン・ハートマンでした。エドガー・ウィンター・グループでほとんど主役を張っていたハートマンだと確信した時の驚きは忘れません。さすがはハートマン、曲も本当に素晴らしい。後にテイク・ザットがカバーしてリバイバル・ヒットしましたし。

 ファン・サイトによるとモーニング娘。の「ラブ・マシーン」の限定版アナログ盤は、もろにこの曲を頂いているということで、作曲&アレンジのダンス☆マンが大いにリスペクトしている曲の模様です。言うなればディスコ・サウンドの典型です。

 アルバムはファースト・シングルの「ハンズ・ダウン」で始まります。この曲には何とスティービー・ワンダーのハーモニカとエドガー・ウィンターのサックスがフィーチャーされています。「歴史的スペクタクル・セッション」だと解説で村岡裕司さんが興奮しています。

 一曲挟んで「リライト・マイ・ファイア」ですが、この曲はSFチックな「ヴァーティゴ」をイントロとするディスコらしいメドレーになっています。単独でもシングル・カットされ、さらにいろいろなミックスがなされて、フロア・クラシックスとしての地位を獲得しました。

 この曲ではロレッタ・ハロウェイがハートマンとともにボーカルをとっています。彼女は後にサンプリングされまくる「ラヴ・センセーション」で一世を風靡しました。その曲はハートマンが作曲してプロデュースしています。さすがです。

 さらにホーン&ストリングスはフィリー・ソウルのMFSBが担当しており、何かと話題に事欠きません。この時代のディスコを感じたければ、この曲を聴いておけば間違いありません。ディスコ成分を抽出するとこの曲に行き着く。

 さらにエドガー・ウィンター・グループでの傑作「フリー・ライド」のセルフ・カバーも含めて、ハートマンの曲作りの確かさと、とにかく明るいイケイケのサウンドが素晴らしいです。しかし、大ブレイクには何かが足りなかった。ジャケットかもしれませんね。

Relight My Fire / Dan Hartman (1979 Blue Sky)