ニュー・オーダーの頭文字をとると確かにNOになります。それが大きくジャケットに描かれています。ピーター・サヴィルのジャケットは大好きなんですが、この作品はちょっと。そもそもニュー・オーダーにNOは似合いません。

 本作品は前作「ゲット・レディー」から4年ぶりとなります。またまた4年。12インチ中心だったためにベスト盤を編みやすいのでしょうか、その間、4回目のベスト・アルバムが出され、流行りのボックス・セットも出ました。これを考えると4年は短い。いいペースです。

 前作からここまでの間にジリアン・ギルバートが脱退しました。育児に専念ということで、やむを得ない脱退です。一方の夫スティーヴン・モリスは健在です。ジリアンの代わりにはマリオンというマンチェスターのロック・バンドからフィル・カニンガムが参加しました。

 それもあってか、冒頭の「フーズ・ジョー?」はいきなり派手なシンセで始まります。ジリアンの控えめなプレイとは随分違う感じです。まあエレクトロニクスはバーナード・サムナー他も使いますから、一概に交代のせいとは言えませんが。

 本作品は当初ブライアン・イーノにプロデュースを依頼していたそうです。結局、それは実現せず、ストーン・ローゼズを世に送り出したジョン・レッキー、マドンナを手掛けたスチュアート・プライス、スミスやブラーをプロデュースしたスティーヴン・ストリートの3人が手掛けました。

 それほど突拍子もない組み合わせではありませんが、商業的に成功を収めた作品を手掛けた3人を起用したということはニュー・オーダーもいろいろと考えるところがあったのでしょう。結局、このアルバムを最後にピーター・フックが脱退することになりますし。

 前作に引き続いて、ギター・バンド寄りのサウンドになっています。懐かしさにも磨きがかかり、まるで演歌のような濃縮されたポップが展開されています。彼らが日本で人気があるのも頷けます。この頃の彼らはフジロックの定連となっていました。

 そこでの日本のファンの暖かい声援にこたえたいと、本作品の日本盤にはシングル曲「クラフティ―」の日本語バージョンが収録されているそうです。アジア・カンフー・ジェネレーションの後藤正文が作詞を手掛けています。

 プロデュースの違いか、いつもよりボーカルがくっきりと聞こえます。そのために日本人の琴線に触れるメロディーが際立ちます。プロデューサー陣の考えるニュー・オーダー節も、そちらを活かしたバンド・サウンドの方向にあるのでしょう。

 一方、「クラフティ―」はクラフトワークの影響が著しいと言われます。タイトル曲もクラウト・ロックの雄ノイ!を思わせます。「ロウ・ライフ」や「ブラザーフッド」の頃を彷彿させるサウンドですし、全体に無防備な感じがします。そこがあっけらかんとしていていい感じです。

 ゲストは当時人気絶頂だったシザー・シスターズのアナ・マトロニックが1曲ボーカルで参加しているのみです。ほんの少しの参加ですがシザー・シスターズの爪痕を残しています。またまた無防備。面白い人たちです。

Waiting For The Sirens' Call / New Order (2005 London)