すっかりWACKの術中にはまってしまいました。ギャング・パレードはBISやBiSHをマネージするWACK所属のアーティストにして、ここに至るまで数々のプロレス的な仕掛けを乗り越えてきた人たちです。無事にアルバムが発表されて大変良かった。

 もともとWACKが手掛けた最初のアイドルBiSが解散する時に、BiSのカミヤサキが結成したのがプラニメ、それがPOPと改名します。そこにカミヤサキは禁止事項に触れたなどとして活動休止、100kmマラソンを完走してメンバーに復帰するというイベントが挟まれます。

 その後、2016年に改名してギャング・パレードとなります。ここでまたライバル心を煽るように再始動するBiSのオーディションに落ちた3人を加えて7人組となり、さらに200kmマラソンを敢行、何ともプロレス的な展開です。

 さらにBiSのアヤ・エイトプリンスとギャンパレ唯一のオリジナル・メンバー、カミヤサキのトレードを行うという無法ぶり。このメンバーでの初のアルバムがこの作品です。このトレードは2018年3月で終了するそうですから、何だかカミヤサキが可哀想な気もします。

 ギャンパレはファンのことを「遊び人」と称するそうですが、こうした一連の過程を追ってくると、その遊び人の結束は否が応でも高まるでしょうし、彼女たちにのめり込む度合もますます激しくなってくることでしょう。傍目に見ていても面白いですから。

 ギャング・パレードのコンセプトは一見して明快です。どこからどうみてもヤンキー以外の何者でもない。しかもかなり年代物のヤンキーです。コスチュームも暴走族御用達の漢字を使って愚連隊行進と書かれていて分かりやすいです。

 ただし、「ワルなのに行進してるのってよくないですか?悪ぶるけど真面目で揃っちゃうところがギャンパレっぽい」とココ・パーティン・ココが言っているように、決してそのコンセプトに囚われているわけではないところが最近の若者です。

 WACK所属のアーティストらしく、この作品もプロデュースは松隈ケンタ、作曲は松隈に加えてYou-oh Okiとsome、松隈主宰のスクランブルズのメンバーです。1曲だけギャンパレのユメノノアが作曲者としてクレジットされています。

 これはメロディーのない状態のオケにメロディーをつけるコンペにノアが勝ち残ったものだそうです。さらに10曲中7曲はメンバーによる作詞です。いろいろと試練を潜り抜けてきたのに皆さんすくすくと育っていて頼もしいです。

 見た感じはヤンキーですが、サウンドは悪ぶっているものの可愛らしいです。そこも実はファンシーなものが好きな時代物のヤンキーっぽいです。BiSHのようなパンクから出発ではないので、エレクトロニクス全開ですし、普通にアイドルっぽいです。

 プロレスを敷衍すれば、ギャンパレとBiSは長州力と藤波辰爾。グループのコンセプトがそうなればこそ、スクランブルズによる楽曲も自由度が高く、うまくはまると大化けする可能性もあると思うので、しのぎを削って更なる高みを目指してほしいものです。

参照:CDジャーナル2017年12月号(南波一海)

Gang Parade Takes Themselves Higher!! / Ganga Parade (2017 T-Palette)