アルバム・タイトルは日本語に訳すと「永遠に」となります。まるで別れを告げているようなタイトルですけれども、その通り、彼らはこのアルバムをもってDAFを解散することになりました。後に何度か再結成するので、第一回目の解散です。

 解散公演を日本で行うことがアナウンスされていましたけれども、結局実現しませんでした。朧げな記憶をたどると、確かチケットを買って会場に行ったら中止だったので、がっかりしたと同時になぜかこうなることは分かっていたと感じた気がします。違ったかな?

 ジャケットもまたセンスが良いです。特にヴァージン三部作は統一感があって素晴らしい。好き嫌いがはっきり分かれるところでしょうが、私は特にこの作品が好きです。影絵というのが意表をついています。これまた解散への布石だと後知恵が深読みします。

 本作は1982年5月に録音されていますから、前作からこれまた半年少ししか経過していません。結局、ヴァージン三部作は1年と2か月の間に三枚のアルバムを発表するという、ハイペースでの仕事になりました。勢いが半端ないです。

 本作も前作、前々作と同様にコニー・プランクのスタジオで制作されており、プロデュースもプランクが担当しています。前二作に比べると本作は少しだけ変化が感じられます。一言で言えばコニー・プランクの色が強くなってきています。

 DAFの二人は、前作が思ったほど商業的に成功しなかったことから、DAFを解散させてソロ・キャリアを追求する方向に舵を切りました。それが本作の制作中だったのかどうかは定かではありませんが、目を未来に向けていたことは確かな模様です。

 それもあったのか、重厚なダンス・ビートではあるものの、そちらの方向を追求するというよりも、より音色を重視する方向にほんのわずかですが、軌道修正したように感じます。やんちゃな感じから、洗練の度合いが深まりました。

 コニー・プランクがこの当時マニ・ノイマイヤーやメビウスと制作していた作品のベクトルと向きが同じなので、この変化にはプランクの影響が大きいのではないかと推測します。彼がDAFの二人を鼓舞して完成に至ったのでしょう。

 前二作と同じ手法、すなわちコルグ・シンセがビートを生み、ロベルト・ゲアルが生ドラムを叩き、ガビ・デルガドが歌う、という形で制作されています。しかし、何曲かは過去の5人組時代の音源を使用しているところも相違点です。足りなかったのかもしれません。

 DAFに影響を受けたバンドは多いですし、シンセによるビートそのものを前面に押し出しているので、ハウスやテクノなどのクラブ・ミュージックの先駆けと言われてもおかしくはありません。しかし、クラフトワークがテクノの元祖だと言われるほどには言及されない。

 ドイツ語にこだわったため、クラフトワークほどは英語圏で売れなかった事情もあるでしょう。しかし、それ以上にシンセが革ジャンを着てリーゼントで固めているかのようなビート感覚が大きいのではないでしょうか。私にはちょうどいいのですが。

Für immer / Deutsche Amerikanische Freundschaft (1982 Virgin)