DAFの快進撃が始まりました。前作が商業的にも成功した二人は間髪を入れずに新作の制作に取りかかりました。前作の録音が1980年12月から81年1月、本作品は81年8月から9月です。居ても立っても居られなかったと解釈したいです。

 あろうことか、本作品は日本でもほぼリアルタイムで国内盤が発売されました。題して「愛と黄金」、原題をほぼ直訳したタイトルでした。何が日本盤になっても驚かなくなっていましたが、初期のアルバムが結構入手困難だっただけにおおっと思ったものです。

 前作をほぼ踏襲したサウンドです。ロベルト・ゲアルのドラムとガビ・デルガドのボーカル、それにコルグ・シンセによる二人と一つのバンド・サウンドです。日本生まれのコルグ氏は前作に引き続き本作でも頑張っています。革ジャンでも着てそうな演奏ぶりです。

 同意していただける方も多いのではないかと推測しているのですが、私は前作と本作の区別が判然としません。LPとしての区別は、「デア・ムッソリーニ」が入っている方か入っていない方か、とつける以外なさそうです。

 だから駄目かと言えばそんなことはありません。私はどちらも大好きです。二枚組として聴いています。制作時期も似通ってますし、何よりも新たな方法論を見つけたばかりですから、曲想が迸っていた結果でしょう。

 「デア・ムッソリーニ」ほどのキラー・チューンはないにしても本作にも注目曲が多いです。前々作を彷彿させる「エル・ケ」のきゅるきゅるなるビートとはねるボーカル、「金のおもちゃ」のトライアングル・サウンド、インストゥルメンタルの「絶対的身体操作」などなど。

 ガビ・デルガド・ロペスは8歳の時にスペインからドイツに移住してきました。そのおかげもあって、ガビが歌う言葉はそれまでドイツでは歌として聞いたことがない表現が多いのだそうです。本人はドイツの大衆歌謡シュラゲールからの解放だと主張しています。

 前作以上に顕著になっているのはセックスにまつわる言葉の数々です。曲の題名からして「水中セックス」なる直截なもののみならず、いくらでも深読みできるものが多い。歌詞の内容も性的な事柄が大きな特徴となっている模様です。ドイツ語は分からないのですが。

 それもストレートなエロ話ではなく、マゾヒズムであったり、支配と服従であったり、絶頂ではなく絶頂の不在であったりと、一筋縄ではいきません。汗と筋肉を強烈に感じさせるガビのボーカルはそんなことを歌っているようです。

 ロベルトの作り出すビートは前作同様に実験精神に富んでいながら、決して肉体を忘れない。「セックス、ダンス、愛、政治、それがすべてだ」とはサウンド面からも裏付けられています。潔いまでにシンプルでいてこれだけ豊かなサウンドが生み出せるとは恐れ入ります。

 なお、ジャケットに写る二人の姿はこれまた主張があります。知らぬ顔をして通り過ぎるわけにはいかない。黒づくめ、革づくし、短髪。ゲイ・カルチャーのらしさを体現していて、これまた潔い。かっこいいです。

Gold und Liebe / Deutsche Amerikanische Freundschaft (1981 Virgin)