「天使にラブソングを」はラスベガスのスターだったデロリスがとある事情で修道院に入ることになり、そこのどうしようもなかった聖歌隊を見事なまでに変身させるという話でした。この作品はその続編のサウンドトラックです。

 続編はデロリスが修道院から要請を受けて、ハイスクールの音楽クラスを受け持つ設定です。前作に比べると、日本のテレビや映画に慣れた身としては格段に分かりやすい。前作の方が世界的には大ヒットしていますが、日本ではこちらの方が馴染みが深い。

 デロリスを演じるのはウーピー・ゴールドバーグです。アカデミー、グラミー、エミー、トニー各賞を全部受賞した大スターではありますが、日本での人気は今一つ。それは彼女のアメリカ度がきつすぎるということでしょう。

 このサウンドトラックにはウーピーを中心にした歌、生徒たちの歌、生徒たちのライバルによる歌などの劇中歌が収録されている他には、アレサ・フランクリン、ハイ・ファイブ、ナッティン・ナイスによる楽曲が含まれます。アレサを除く二組は新進気鋭のアーティストでした。

 このアーティストによる曲とキャストによる曲の間には壁があります。キャストの歌はやはりいかにも映画っぽい。言い方は悪いですが学芸会的で、そこが大変楽しい。要するにステージとフロアの違いと言っていいでしょう。

 キャストによる歌は基本的にはゴスペルです。モータウンなどのカバーもありますが、みんなでワイワイ楽しみながら歌っていれば、それはゴスペルです。アメリカ人は日常的にこうやって音楽を楽しんでいるのかとその底力を垣間見る気がします。

 アルバムの盛り上がりは、もちろん最後の生徒たちが出たコンテストの場面です。それまでのさまざまな思いを一つのステージに凝縮させて爆発させる姿は圧巻です。映画を見てしまっていますから、思い出して盛り上がらざるを得ない。

 歌っているのは「聖歌」「みかみのあいをば」をモチーフにした「ジョイフル・ジョイフル」で、若者らしくラップも絡めて弾けます。直前にライバルが正統派コーラスで賛美歌を歌っているので対比が際立ちます。いやあ、盛り上がりました。

 この曲をプロデュースしたのはマーヴィン・ウォーレンで、彼は人気コーラス・グループ、テイク6の初期メンバーで5回もグラミーを獲得した人です。手堅いアレンジで若者たちの魅力を引き出すことに成功しています。

 生徒たちはオーディションで選ばれています。一番の大役をこなしたのはあのローレン・ヒルです。フージーズでの大成功はこの翌年のことで、さらにスーパースターになりますから、もはやこの作品は「あのローリン・ヒルが若い頃に出ていた作品」です。

 ローリンは期待に違わぬ見事な歌唱を披露しています。私も実はそれ目当てで買ってしまいました。彼女を始めとする若者たちの神がかったパワーが凡庸なお話をきらきらと輝かせています。若さって本当に素晴らしいですね。

Sister Act 2 : Back In The Habit / Various Artists (1993 ユニバーサル)