デュアン・オールマンの「アンソロジー」が大好評だったために、第二集が発表されました。デュアンの愛され具合がわかるというものです。1974年と言えば、オールマン・ブラザーズ・バンドは「ブラザーズ・アンド・シスターズ」で頂点をきわめた翌年のことです。

 私も含めて後からファンになった人にとってはデュアンはすでに伝説の人でしたから、そのプレイをもっと聴いてみたいと切に思っていた、デュアン・ロスともいえる状況が広がっていたわけです。柳の下には見事に二匹目の泥鰌がいました。

 さすがに「いとしのレイラ」級の超有名曲はありませんけれども、それでも2枚組のボリュームを埋めるだけの佳曲が揃っています。後に更なる大コンピが編まれるわけですから、これくらいは問題なかったのでしょう。

 前作につけられていたようなブックレットは今回は付けられていませんが、それでも各楽曲の演奏者のクレジットはしっかりと記載されています。ただ、オールマンズの「マイ・ブルース・アット・ホーム」にはデュアンの名前がありません。よりによって、ここでミスが。

 LPで言えば各面の最初にデュアンがボーカルをとる曲が置かれています。C面を除いてですが。C面ではデュアンはドブロを弾いています。一曲を除いてですが。D面ではオールマン・ブラザーズ・バンドの曲が集められています。一曲を除いてですが。

 とまあこういう具合に選曲と曲順に何か意図がありそうなのですけれども、どれも徹底しない。そこが歯がゆくもあり、面白くもあります。そんなところにごちゃごちゃ文句を言うことがとても楽しい。そこがこういうコンピレーションの醍醐味の一つでしょう。

 本作品には、未発表曲が6曲も含まれています。そのうち2曲は幻に終わったデュアンのソロ・アルバム用の曲です。そして、オールマンズの曲ながら、デュアンが♪歌いたい気分だから♪ボーカルをとった曲も未発表曲のうちの1曲です。

 当たり前と言えば当たり前ですけれども、デュアンの歌声はグレッグ・オールマンに少し似ています。ただし、ボーカリストとしての力量はお世辞にもグレッグに及ぶところではありません。それだからこそこういうコンピレーションで聴くにはもってこいです。

 未発表曲の中で注目を集めたのは、デラニー&ボニーの「カム・オン・イン・マイ・キッチン」のライブとオールマン・ブラザーズ・バンドの「ミッドナイト・ライダー」の2曲のライブ録音です。前者はFM放送用にスタジオで録音されたライブです。

 デラニー&ボニーにデュアン、そしてサム・クレイトンのコンガを入れただけのシンプルな編成で、和気藹々な雰囲気の中にデュアンのアコースティック・スライドが光ります。何度も呼びかけられてはギターで返す。カッコいいです。

 デュアンの活動期間は短く、セッション・ワークも69年と70年にほぼ集中しています。そのため、テキサスのマッスル・ショールズでの日常を垣間見ることができるような気にさせてくれます。この時代、マッスル・ショールズからはとにかく豊かな音楽が生み出されていました。

An Anthology Vol.II / Duane Allman (1974 Capricorn)