ビッグ・バンを起こしたのはドクター・ファンケンシュタインでした。何ということでしょう。この世界の始めにファンクがあったわけです。もはやファンクは神です。水中に潜ったドクターはまたここで宇宙に飛び出しました。やはりこっちがしっくりくるのでしょう。

 今回はまた前作に引き続きすっきりしたジャケットです。このロバ人間がグローリィホーラストゥピッドです。ジャケットには3ページに及ぶアメコミが付けられていて、ロバ人間グローリィホーラストゥピッドの物語が描かれています。

 しかし、この物語は分かりにくいことこの上ない。私の英語力では何のことやらさっぱりわかりません。日本語の解説も混乱しています。どうやらこのロバ人間はサー・ノーズとその手のものによってしっぽにピンを刺されてしまったスターチャイルドの模様です。

 サー・ノーズは「ブラック・ホールのテーマ」にて、♪お前のフラッシュライトはどこだ?お前のバップ・ガンはどこだ?ドクターはどこだ?♪と挑発しています。物語はいかにも続きますよというスター・ウォーズ的な展開になっています。

 さて、このアルバムはパーラメントのアルバムの中ではとても評価が低いです。その責めの多くは「パーティー・ピープル」なる10分間のディスコ・チューンが負わされています。ファンクとディスコは、区別がつかない人も多いでしょうが、実は犬猿の仲です。

 ジョージ・クリントンはディスコを毛嫌いしていたはずなのに、この曲は見事にディスコです。私はさすがにPファンクだなと感心したのですけれども、ファンク原理主義者にはどうも人気がないようです。一時のブームを超えて、ハウス前夜の一皮むけたディスコですが。

 しかし、この作品はバーニー・ウォーレルが曲作りに参加していない模様です。バーニーはこの頃からフェイド・アウトし始めていました。ブーツィーは相変わらず活躍していて、Pファンクらしさはブーツィーが支えているように思います。

 一方、ウォルター・ジューニー・モリソンはアルバムの後半に活躍します。プロデュース名義ももらっている「カラー・ミー・ファンキー」と「ブラック・ホールのテーマ」の2曲は特にジューニーらしいクールなファンクです。

 そしてこのアルバムの頃からPファンクと行動を共にするブラックバードことドゥウェイン・マックナイトの独壇場の曲「ザ・フリーズ」があります。ファンキーでジャジーカッコいい曲です。さすがは後にレッチリやマイルス・デイヴィスと共演するだけのことはあります。

 ブラックバードとジューニー、そしてブーツィーの三人がマルチ奏者扱いとなっていて、アルバムを引っ張っています。代わりにオリジナル・パーラメントはほとんど姿を消しています。さまざまな才能が去来するPファンクならではです。

 パーラメントらしいホーンの活躍もあり、それぞれの曲の質は高いですけれども、これまでで最も多いメンバーが参加しているのに大勢でわさわさ勢いよく押しまくるパーラメントを期待すると少し違います。これはこれでパーラメントの現在進行形だったんでしょう。私は好きです。

参照:「P-FUNK」河内依子

Gloryhallastoopid Or Pin The Tale On The Funky / Parliament (1979 Casablanca)