キャプテン・ビーフハートの「クリア・スポット」は何とテッド・テンプルマンがプロデュースしています。この頃、テッドはハーパーズ・ビザールで活動した後、ワーナー・ブラザーズでプロデューサーとして働き始めていました。
そのテッドがドゥービー・ブラザーズやヴァン・モリソンのアルバムをプロデュースした後、この「クリア・スポット」のプロデュースにあたることになったわけです。ドゥービーとビーフハート、まるで世界の異なるアーティストです。
ワーナーが採用するくらいですから、当然、コマーシャルな音の作り方も熟知しているテッドです。ビーフハートとのミスマッチ感が強いですけれども、結果的にはこの両者のコラボレーションは大そううまくいきました。やってみるものです。
前作もコマーシャルな音を目指した作品でしたが、こちらは堂々とメインストリームのロックないしブルース・アルバムとなっており、結果的にそうはなりませんでしたが、商業的に大成功したとしても驚かない充実したアルバムです。
今回のマジック・バンドでは、ベースのマーク・ボストンがリズム・ギターにまわり、ベースにはマザーズからロイ・エストラーダが参加しています。ドラムもマザーズのアート・トリップが担当しており、ジョン・フレンチの名前は消えてしまいました。
ギターのビル・ハークルロードは見事に元気です。彼のギター・フレーズから展開したと思われる曲もあって、ビルの果たした役割は今回も大きいです。加えて、ストーンズとも共演しているミルト・ホランドがパーカッションでゲスト参加しています。
この作品はしばしば「女性のアルバム」と呼ばれます。たとえば「ハー・アイズ・アー・ア・ブルー・ミリオン・マイルズ」などはビーフハートが妻のジャンに捧げた愛しいバラードです。この曲を筆頭にラブ・ソングが目立ちます。ビーフハートなのに。
一番成功した曲「マイ・ヘッド・イズ・マイ・オンリー・ハウス・アンレス・イット・レインズ」は多くのアーティストにカバーされ、結婚式で演奏されることもあったそうです。これまでのビーフハートを思うと驚愕の事実ですが、音を聴けば素直に納得できます。名曲です。
ギターの響きも美しい曲で、ビーフハートのボーカルも普通に味があります。歌詞もストレートに愛を歌っています。ただし、この曲名。そこがビーフハートです。アルバム全体も、キャッチーでポップではあるけれども、どこかアヴァンギャルドである、そんな佇まいです。
テンプルマンとビーフハートは途中で仲違いもしたようですが、やがて和解しており、ビーフハートはこのアルバムを大そう気に入っていたようです。前作よりも売れなかったとは信じられない普通に素晴らしいアルバムですから当然です。
ジャケットに写っているのはビーフハート、テンプルマン、エンジニアのドン・ランディーとワーナーの副社長カール・スコットです。彼らが戯れているのはプラネタリウムのコントロール。何ともビーフハートらしからぬ友好的な空気が漂っています。面白いです。
Clear Spot / Captain Beefheart & The Magic Band (1972 Reprise)
そのテッドがドゥービー・ブラザーズやヴァン・モリソンのアルバムをプロデュースした後、この「クリア・スポット」のプロデュースにあたることになったわけです。ドゥービーとビーフハート、まるで世界の異なるアーティストです。
ワーナーが採用するくらいですから、当然、コマーシャルな音の作り方も熟知しているテッドです。ビーフハートとのミスマッチ感が強いですけれども、結果的にはこの両者のコラボレーションは大そううまくいきました。やってみるものです。
前作もコマーシャルな音を目指した作品でしたが、こちらは堂々とメインストリームのロックないしブルース・アルバムとなっており、結果的にそうはなりませんでしたが、商業的に大成功したとしても驚かない充実したアルバムです。
今回のマジック・バンドでは、ベースのマーク・ボストンがリズム・ギターにまわり、ベースにはマザーズからロイ・エストラーダが参加しています。ドラムもマザーズのアート・トリップが担当しており、ジョン・フレンチの名前は消えてしまいました。
ギターのビル・ハークルロードは見事に元気です。彼のギター・フレーズから展開したと思われる曲もあって、ビルの果たした役割は今回も大きいです。加えて、ストーンズとも共演しているミルト・ホランドがパーカッションでゲスト参加しています。
この作品はしばしば「女性のアルバム」と呼ばれます。たとえば「ハー・アイズ・アー・ア・ブルー・ミリオン・マイルズ」などはビーフハートが妻のジャンに捧げた愛しいバラードです。この曲を筆頭にラブ・ソングが目立ちます。ビーフハートなのに。
一番成功した曲「マイ・ヘッド・イズ・マイ・オンリー・ハウス・アンレス・イット・レインズ」は多くのアーティストにカバーされ、結婚式で演奏されることもあったそうです。これまでのビーフハートを思うと驚愕の事実ですが、音を聴けば素直に納得できます。名曲です。
ギターの響きも美しい曲で、ビーフハートのボーカルも普通に味があります。歌詞もストレートに愛を歌っています。ただし、この曲名。そこがビーフハートです。アルバム全体も、キャッチーでポップではあるけれども、どこかアヴァンギャルドである、そんな佇まいです。
テンプルマンとビーフハートは途中で仲違いもしたようですが、やがて和解しており、ビーフハートはこのアルバムを大そう気に入っていたようです。前作よりも売れなかったとは信じられない普通に素晴らしいアルバムですから当然です。
ジャケットに写っているのはビーフハート、テンプルマン、エンジニアのドン・ランディーとワーナーの副社長カール・スコットです。彼らが戯れているのはプラネタリウムのコントロール。何ともビーフハートらしからぬ友好的な空気が漂っています。面白いです。
Clear Spot / Captain Beefheart & The Magic Band (1972 Reprise)