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中でも、米国以外ではジョージ・マイケルのソロ作品としてシングル発売された「ケアレス・ウィスパー」は日本人の琴線に触れました。西城秀樹と郷ひろみがカバーして、こちらも大ヒットに輝いています。
前作では、プロデューサーのクレジットがジョージを含む3人に帰されていましたが、今回はジョージの単独名義です。制作の主導権は完全にジョージの手に握られたわけで、それがこのアルバムの成功のもととなったと思います。
こういうプロデューサー気質の人がメンバーにいる場合には、素直に任せればよいのですが、弱冠20歳ではそうもいかないのでしょう。大ヒットの予感がしていればなおのことです。レコード会社の期待があれこれ口を出す結果につながっていたのでしょう。
前作のような革ジャン不良少年のイメージは全く払拭され、当時のニュー・ロマンティクスにも影響された普通にゴージャスなルックスをジャケットに持ってきています。このジャケットがサウンドの変化を物語っており、アイドル歌謡的なジョージの持ち味を語って見事です。
アルバムは「ウキウキ:メイク・ミー・アップ」から始まります。前作を踏襲した軽快なソウル・チューンでモータウン・サウンドの影響がもろにわかる楽曲です。彼らのアイドル性をいかんなく発揮したかわいらしい曲はアルバムへの期待を高めます。
B面最初に配された「フリーダム」も同様のキラー・チューンで、日本でもマクセルのコマーシャルに使われてオリコン1位の布石になりました。これもモータウン的なトラックを当時の英国で流行っていたポップス風に料理した楽曲です。
そして、大トリを飾るのは「ケアレス・ウィスパー」です。ジョージ・マイケルのソング・ライティングの才能を極限まで突き詰めた永遠のクラシックです。このシルクのように艶やかに流れるメロディー・ラインは素晴らしいの一言です。
その「ケアレス・ウィスパー」がジョージのソロ名義になった事情は分かりませんが、シングルのジャケットは彼一人しか写っていませんので、間違いではなさそうです。ただ、PVにはアンドリュー・リッジリーも登場しています。
もともとうなづきトリオと称されたアンドリューの役割はますます不明瞭になりました。ギターももう一人クレジットされていますし、コーラスでも特に目立っているわけではなく、その存在感は極めて薄い。
大きなお世話なんですけれども、結局、アンドリューに対する世間の風当たりは厳しく、本人もかなり悩んだそうですから、才能ある友人と仕事するのも考え物です。デュオではなく、バンドでデビューしていればよかったのにと悔やまれることしきりです。
Make It Big / Wham! (1984 EPIC)