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彼らの最も有名なエピソードは、インストゥルメンタルであるにも関わらずシングル曲「ピックアップ・ザ・ピーシズ」が全米一位に輝いたことではなくて、その曲にかのJBがアンサー・ソングを捧げたことでしょう。
ホワイト・ファンク・バンドとしてのアヴェレイジ・ホワイト・バンドは、ファンクの帝王ジェイムズ・ブラウンに認められたんです。これ以上の歓びはなかったことでしょう。しかし、それは昔の話。この作品はかなり路線が違います。
1980年に発表された「シャイン」はプロデューサーにデヴィッド・フォスターを迎えて制作されています。当時、デヴィッド・フォスターはアース・ウィンド&ファイヤーへの曲提供でその名を馳せ、エアプレイでその名声を確立していました。
AWBはアトランティックからアリスタにレーベルを移籍するに際して、置き土産的に4曲の新曲を録音しています。そのプロデュースにあたったのがフォスターでした。恐らくはそこで大いに意気投合したのでしょう。その結果としてのアルバム制作ではないでしょうか。
都会派ソウル・ミュージックといいますか、素直にAOR、アダルト・オリエンティッド・ロックといいますか、とにかくファンク寄りではあるものの、軸足はそちらに置かれています。フォスター・サウンドの一つの完成形とも言えるサウンドです。
アルバムから最初にシングル・カットされたのは「レッツ・ゴー・ラウンド・アゲイン」というハッピーなディスコ・チューンで、特にイギリスでは12位になるヒットを記録しています。二作目のシングルはバラードの「フォー・ユー・フォー・ラヴ」でこれはあまりヒットしていません。
それよりも、後にチャカ・カーンがカバーしてヒットした「ホワッチャ・ゴナ・ドゥ・フォー・ミー」の方が有名かもしれません。アルバム全体としては英国で14位と健闘しましたが、米国では100位にも入りませんでした。
ここまでAWBは7枚のスタジオ・アルバムを発表しており、特に米国では悪くても30位台と大ヒットを続けてきました。それがこの路線転換で一気に100位落ちをし、これ以降はチャート入りすらしなくなりました。
米国ではファルセット・ボーカルも冴えるホワイト・ファンクで人気を博していたのに日和ったと思われたのでしょう。一方で、AORが大好きな日本ではこちらのアルバムの方が人気が高いのではないでしょうか。
気持ちの良いライト・ファンクなサウンドにはほっとします。ドラムの録り方が強烈に80年代を感じさせて懐かしくもなります。どういう心境での路線変更か分かりませんが、米国での明らかな過小評価につながってしまったのはとても残念です。
Shine / Average White Band (1980 Arista)