余裕綽々の活動を続けていたサンタナが、オリジナル・メンバーで再生しました。「伝説のラインナップ、45年ぶりの再会」です。45年です。45歳と言えば早い人ならすでに孫がいてもおかしくない。長い長い年月です。

 アルバムは「サンタナIV」と題されています。ということは前作は「サンタナIII」だということです。「キャラバンサライ」ではないところに注目です。スピリチュアルが降りてくる前の、ラテン・ロックという言葉を作り上げたサンタナの続編です。

 オリジナルと言いましたが、残念ながらベースのデヴィッド・ブラウンは鬼籍に入っています。そして、ホセ・チェピート・アリアスは存命ですが、不参加です。彼はアブラクサス・プールには参加していましたけれども、大変残念です。

 その代わりに、ベースはベニー・リートヴェルド、ティンバレスにはカール・ペラーゾという90年代初めからサンタナを支えている二人が参加しています。20年以上一緒にやっているメンバーが新しいメンバーのように思えてしまうのは凄いことです。

 メンバーを改めて紹介すると、後にジャーニーを結成するグレッグ・ローリーとニール・ショーン、ドラムにマイケル・シュリーヴ、パーカッションにマイケル・カラベロです。カルロス御大のギターが加わることで、アブラクサス・プールとは決定的に異なりました。

 アルバム・ジャケットは誰の目にも明らかなようにファースト・アルバムを彷彿させます。こんなところも往年のファン泣かせです。加えて、アイズレー・ブラザーズのロナルド・アイズレ―が二曲でボーカル参加しています。嬉しい驚きです。往年のファン向きですが。

 余裕綽々のサンタナ・サウンドが展開します。「往年のサンタナ・サウンド回帰作は歓喜に満ちた愛と情熱の祭典」です。回帰作らしく、過去の名曲がちらちら頭をかすめるようにできています。「ネシャプールの出来事」だとか「祭典」だとか「風は歌う」とか。

 「哀愁のヨーロッパ」を思わせる「スウェニョス」が典型です。こういうねっとりギター曲が必ず入っていたんだよなあとお父さんは思うわけです。ついでに「リーヴ・ミー・アローン」は、回帰は回帰でも、復活大ヒット曲「スムース」を思わせるところがご愛嬌。

 このプロジェクトは、相変わらずジャーニーで活躍を続けるニール・ショーンが、カルロスの「行く先々に姿を現し、『なぁ、何か一緒にやろうぜ』」とストーカー行為に及ぶと、カルロスが「オリジナルのバンドの分子を再燃させるように、との神のお召しを感じ」て始まりました。

 私はもともとこういう再結成作品には批判的なのですけれども、もうカルロスも68歳です。20歳代の若い頃を懐かしんで、みんなで一緒にやることを批判するのも何だか器量が小さい気がしてきました。

 もうどこをどう切ってもサンタナ・サウンドです。スパークなどなくても、骨の髄までしみこんだサウンドを緩めに展開する彼らを見ていると、こちらも十分に楽しめます。全部新曲だということで、彼らの意欲も感じながら、自らの魂を奮い立たせる。そんな効用があります。

Santana IV / Santana (2016 Sony)