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プロコル・ハルムの4作目は「ホーム」と名付けられました。恐らくはオリジナル・メンバーに戻ったことから付けられたものと思います。プロコル・ハルムはもともと学校時代に結成されたパラマウンツというバンドが前身になっています。その姿に戻ったので「ホーム」でしょう。
オリジナルとは言え、これまでのプロコル・ハルム・サウンドを特徴づけていたのは、そのオリジナル・メンバーに入っていないオルガンのマシュー・フィッシャーでしたから、プロコル・ハルムとしては新しく生まれ変わったと言ってよいでしょう。
前作ではプロデューサーまで務めたマシュー・フィッシャーと、ベースのデイヴ・ナイツが脱退して、パラマウンツのクリス・コッピングが加入することになりましたが、この変化は大きすぎるということで、当初はフィッシャーにプロデューサーを承諾してもらいました。
そして作詞のキース・リードがオルガンを担当するという苦肉の策がとられました。しかし、これはうまくいかず、結局、この布陣で録音された素材は破棄され、新たに当時はまだ新人だったクリス・トーマスがプロデューサーに起用されました。
そうして生み出されたのがこのアルバムです。ダメ出しをくらったキース・リードも元気に歌詞を書いています。何だか切ないですが、餅は餅屋、適材適所とはそういうものでしょう。創作の道に下手な妥協は禁物です。
アルバムは、ロビン・トロワ―の作曲による「ウイスキー・トレイン」で幕を開けます。重いリフを持つ力強いロックな楽曲です。この曲は先行シングルとして発売されており、アルバムの代表曲になっています。
しかし、トロワ―の作曲になる楽曲はこの曲と「アボウト・トゥ・ダイ」の2曲のみです。残りの7曲はすべてゲイリー・ブルッカーが作曲しています。ジミ・ヘンドリックスに入れ込み始めたロビン・トロワ―の持ち味とブルッカーのテイストが少し異なってきているようです。
マシュー・フィッシャーはクラシックの素養を持っていましたから、それまでのプロコル・ハルムのクラシック的な味わいの要でした。しかし、その味わいは残されたブルッカーがR&B的解釈で引き継いでいます。
もともとパラマウンツは黒人音楽のカバーなどをレパートリーにしていて人気を博していたそうです。クリスの加入もよりR&Bの色合いを濃くしようという意図がありました。それまでのクラシカルな持ち味を引き継ぎつつも、より泥臭いサウンドを求めたということでしょう。
プログレ的な大作「捕鯨物語」を核にして、力強いサウンドを展開したアルバムですけれども、前二作と違って、傑作だという人があまりいません。しかし、プロコル・ハルムの実力を遺憾なく発揮したよく出来た作品だと思います。
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