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サリーはマイクとともにサリアンジーというフォーク・デュオでデビューしています。1968年のことです。サリーが18歳、マイクに至ってはわずか15歳のことです。しかし、サリアンジーはわずか1年で活動に幕を閉じます。
その後、マイクは「チューブラー・ベルズ」で大ヒットします。一方のサリーはマイクの作品などヴァージン・レコード系のプログレ作品でシンガーとして美しい声を聴かせていましたが、1978年になってようやくブロンズ・レコードからソロ・デビュー作を発表しました。
それがこの作品です。パンク/ニュー・ウェイブ華やかなりし時代に出された清涼剤のようなアルバムでしたから、派手なヒットはしなかったものの、こっそりと聴いては、ある意味、癒されていた人は多いのではないでしょうか。私もその一人です。
英国のネオ・フォーク・リヴァイヴァルの立役者だったバート・ヤンシュが好きでサリアンジーを始めた人だけに、ここでも英国トラッドに影響を強く受けたフォーク色の強いサウンドが展開していきます。エンヤの先駆けという人もいます。
サリー自身はボーカル、ピアノ、ギターに加え、マンドリンやグロッケンシュピールやら何やら多くの楽器を演奏するとともにプロデュースも手掛けています。さすがはマイクのお姉さんだけのことはあります。
共演しているミュージシャンの中心は、フレディ・マーキュリーを始めとするビッグネームの数々と共演しているパーカッションのフランク・リコッティです。決して多くのゲストが参加しているわけではなく、基本はサリーが一人で作り上げたサウンドです。
アルバムには「ソングス・オブ・ザ・クウェンディ」という組曲が収録されています。これは、トールキンの「指輪物語」に出てくるエルフを描いた曲で、「指輪物語」から有名な♪エルフの王のための3つの指輪♪という一節が引用されています。
英国でファンタジーを表現しようとすると「指輪物語」はやはり外せません。このジャケットの夢幻なイメージもどことなく「指輪物語」を連想させます。深い森に白い滝。この世であってこの世でない世界です。
私はシングルとして発表された「ミラーズ」がやはり一番好きです。初版以外のLPには3曲目に入っていましたが、CDはオリジナル仕様になりました。英国ではトップ20に入るヒットとなった可愛らしいメロディーの佳曲です。
とにかく美しい声で妖精の世界が展開していきます。殺伐とした世の中で、心のよりどころとなるファンタジーの世界が眼前に繰り広げられるような気がして、大事に大事に聴いてきた作品です。永遠の名盤です。
Water Bearer / Sally Oldfield (1978 Bronze)