ジョージア州メイコンと言えば、オールマン・ブラザーズ・バンドがキャリアをスタートさせた土地です。グレッグ・オールマンにとっては第二の故郷と言ってよいでしょう。それに兄デュエインとベリー・オークリーを失くした場所でもあります。

 この作品は、そのメイコンにあるグランド・オペラ・ハウスにて2014年1月14日に行われたライブの模様を収めたアルバムです。同時にブルーレイも出されており、このCD2枚組を超える分量のライブ映像が収められています。

 キャパは1000人くらいのホールですから、スタジアム級のバンドにしてはとても小さなハコだということになります。第二の故郷の小さなホールで行われたライブですから、これはもうとてもリラックスした親密な感覚の演奏だということが予想されます。

 実際、その通りです。何ともコクのある深い味わいのある演奏が繰り広げられて、胸が熱くなります。とにかく素晴らしい演奏です。アンコールでは息子デヴォンまで登場させてギターを弾かせるという和気あいあいぶりが、心地好いです。

 オールマン・ブラザーズ・バンドは2014年10月に45年に及ぶキャリアに終止符を打ちましたが、グレッグは演奏活動を辞めたわけでは全くなく、精力的な活動を行っています。このライブは新たに8人のメンバーを集めて行われたツアーになります。

 メンバーの中では、2008年以来グレッグと行動を共にしているギターのスコット・シャラード、ホーンを担当しているジェイ・コリンズの二人がグレッグと共に音楽監督を務めているとクレジットされています。

 この3人がバンドの中心になっているところが、オールマンズとの違いを際立たせているのでしょう。これはしっかりとグレッグ・オールマンのバンドです。彼のファースト・ソロは「レイド・バック」でしたが、生涯レイド・バックなところが最大の相違でしょう。

 和気あいあいとしたこのライブは選曲がとてもいいです。デュエインが大好きだった「メリッサ」や「時はもう無駄に出来ない」などオールマンズの曲、「クイーン・オブ・ハーツ」や「ディーズ・デイズ」などのソロ、そしてレイ・チャールズなどのカバー曲がいい感じで共存しています。

 オールマンズの名曲「ウィッピング・ポスト」は、友人にチャレンジされてグレッグが新たな編曲を試みたもので、ファンキーなタッチになっています。オリジナルとかなり違いますが、これがなかなかの出来です。一方で比較的オリジナルに忠実な曲もあります。

 長々とした曲は最後の「ワン・ウェイ・アウト」のみで、ほとんどが5分前後と比較的短めです。適度にバラエティに富んでいて、しかも統一感がある。どこかに偏りがあるわけではないところが、メイコンで気を許しているグレッグ・バンドの真骨頂でしょう。

 ライブは次第に盛り上がり、絶頂を迎えるところでは、全員が音を出しているというただそれだけで聴いている私も幸せだという時が訪れます。最高の演奏というのはこういうことを言うのです。何でもないところが途轍もなくすばらしい。歳を重ねてますます元気なグレッグです。

Back To Macon GA / Gregg Allman (2015 Rounder)