![](https://stat.ameba.jp/user_images/20150920/23/memeren3/bb/4f/j/t02000182_0200018213430568213.jpg?caw=800)
その22人の兄弟姉妹のうち若い方の世代に属する男8人によって結成されたバンドがこのヒプノティック・ブラス・アンサンブルです。どういうわけか、男は金管、女は木管を選ぶそうで、ここは全員が金管楽器です。ブラス・バンドです。
ただし、公式サイトのバイオも混乱していて、7人なのか8人なのかよく分かりませんし、明らかにドラムが入っていますが、クレジットもないので、誰が叩いているのかよく分かりません。大雑把でよしとしましょう。
バンドは1990年にフィル・コーラン・ユース・アンサンブルとして誕生しました。みんなまだ子どもでお父さんと一緒に演奏活動をしていましたが、99年に親元から巣立つこととして、このヒプノティック・ブラス・アンサンブルが誕生しています。
2001年に最初のアルバムを発表すると、順調に活動を続け、2枚目はブラーのデーモン・アルバーンの尽力で英国でも
発売されています。その頃にはスタイルも完成し、やがて世界中で演奏するようになりました。
デーモンのゴリラズを始め、ブラック界のスター、デ・ラ・ソウルやスヌープ・ドッグなどとも共演するなど、あちらこちらで引っ張りだこのようです。ここ日本にもやって来ており、結構な人気を博している模様です。この2013年のアルバムも日本で発売されています。
サウンドはドラムの他はすべてブラスだと思われます。トランペットやトロンボーンなどの定番に加えて、ブラバンらしくスーザフォンやユーフォニアムなどの中低音域の金管楽器も使っているので、音の全帯域をブラスで占めているように感じます。
「初めて聴いたのになつかしく思える」と各地で言われてきたと本人たちが言っている通り、確かにほんわかした感じがします。しかし、緩いわけではありません。シャープな音像ですし、ヒップホップやクラブ・ミュージックの影響を受けた新感覚の音楽ではあります。
ドラムの感覚はどこか聞き覚えがあるなと思っていたらば、彼らはアフロ・ビートのオリジネーター、トニー・アレンとも共演していました。どすどす響かせるわけではないけれども、とてもしなやかなアレンのドラミングと共通するものがあります。
そこにブラスの音群が被さってくるわけですから、新感覚ではあるのですが、サン・ラーやらアフロ・ビートやらを彷彿させる部分も色濃く、とても親しみやすい。血のつながった家族の紐帯でしょうか。
「最高渋谷の夜」なんていう嬉しい曲を始め、各楽曲のキャッチーなメロディーも麗しく、ボーカル入りでもインストでもどちらもいけます。感覚はまさにヒプノティックで、一度聴いたら忘れられない気持ちの良さです。かっこいいです。
参照:CDジャーナル2012/3
Fly : The Customs Prelude / Hypnotic Brass Ensemble (2013 Pheelco)