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学芸会は一般に完成度が低いものですが、完成度が低くても感動しやすいものです。自分の子どもが登場しなくても、容易に涙を流して感動することができる仕掛けでもあります。何と言っても楽しいですし。
私立恵比寿中学はまたももクロの妹分でもあります。恵比寿にあるスターダストプロモーションの先輩後輩にあたる関係です。道理でももクロの肩の力の抜けた、悲壮感とは無縁のアイドルぶりと共通するものがあります。
エビ中の結成は2009年、メジャー・デビューは2012年、これは二枚目のフル・アルバムです。意外と寡作です。しかし、メジャー・デビューから2年たたずにアリーナ・ツアーを敢行するという記録の持ち主でもあります。
現在のメンバーは8人、タモリ倶楽部ファンにはぁぃぁぃこと廣田あいかが有名です。驚愕のアニメ声のぁぃぁぃはおじさんたちに可愛がられています。その声にはとんでもないと怒る人もいるでしょうが、40歳も歳が離れていると可愛く思えてくるものです。
この作品は大変なことになっています。音楽監督はヒャダインのはずでしたが、ここでは一曲として同じ布陣で作られたものはありません。冒頭の寸劇からして、漫画家?しりあがり寿が脚本を書いているという手の込みようです。
参加メンバーだけみても凄いです。奇妙礼太郎トラベルスイング楽団や渋さ知らズなどという渋いバンドのメンバーや、ムーンライダーズの鈴木慶一、サニーデイサービスの曽我部恵一なんていう大御所まで参加しています。
楽曲の提供者も仔細に調べてみると、一癖も二癖もあるアーティストが揃っています。たとえばNHKEテレに出演しているDJみそしるとMCごはん(一人です)とか、たむらぱんで知られる田村歩美とか。
そして、曲調がまたかぶっていない。制作側のこだわりなんでしょう。ラテンあり、歌謡曲あり、パンクあり、フォークあり、クラブありとごった煮の様相を呈しています。歌詞も金曜8時のMステに出たいと叫ぶ掟破りが行われたり、自由自在です。
しかし、始業チャイムで始まり蛍の光で終わるという、中学校での一日をテーマにしたコンセプトは分かりやすいですし、楽曲の数々は耳にとても優しいです。パフュームやももクロに比べると安心して聴いていられます。学芸会は健在です。
最後の「蛍の光」が面白いです。ボーカルが加工していない。これぞ学芸会エンディング。私は涙が出そうになりました。エビ中、いいです。どんなだろうと心配していたぁぃぁぃの歌も上手でしたし、孫たちが元気に歌い踊る姿は感動的です。
Kinpachi / Shiritsu Ebisu Chuugaku (2015 DefSTAR)