松浦亜弥の2枚目のオリジナル・アルバムです。タイトルはシンプルに「T.W.O.」です。二枚目のツーというだけではなくて、ザット・ワンダフル・ワンの頭文字をとってツーです。さらにケースの写真を見ると、自転車、二輪車のツーでもありそうです。

 あややの日常をコンセプトにしたアルバムの模様で、ブックレットには寝起きから始まるあややの一日がキュートにまとめられています。ノートに手書きでこちょこちょ書いてあるので、いろいろと想像が膨らむうまい作りになっています。

 前作から1年ぶりのアルバムです。前作が名作の名をほしいままにしていたので、難産の末に発表されたというわけではなく、毎年お正月に出すことに決めたということのようです。我が道を行くつんく♂&あややです。

 このアルバムにはシングル曲が4曲収録されています。彼女の代表作である「Yeah!めっちゃホリデイ」と「桃色片想い」、ライブで人気の「The美学」に異色の「草原の人」です。面白いことにすべてオリコンの週間チャートでは2位です。判で押したように2位。

 ついでにアルバム自体も2位です。彼女のソロでのオリコン最高位は2位。1位と2位はさほど変わらないと思うのですが、よほど間が悪いんだろうと思います。特にシングル曲の前二者は1位と言っても全くおかしくない勢いがありました。

 その代わりと言ってはなんですが、ソロ・バージョンが収められている後藤真希と藤本美貴とのユニット、ごまっとうの「SHALL WE LOVE」は1位になっています。GAMのステージでも披露されたこの曲、松浦バージョンが私は一番好きです。

 このアルバムは何だか凄いです。ハチャメチャというか、各トラックの遊び方が凄いです。アレンジャーは全部で5人、それぞれがつんく♂プロデューサーのもとで、楽しげにいろんなことをやっています。

 「The美学」はまるでリッキー・マーティンです。腰をぐりんぐりん回す振付もラテンそのもので、その猥雑さがたまりません。「桃色片想い」はビーチボーイズだと言われます。パフィーのビートルズほどではありませんが、確かにビーチボーイズ風味が溢れています。

 また、森高千里とのコラボが長い高橋諭一による「Yeah!めっちゃホリデイ」のキュートなハチャメチャぶりはCDで聴くとなかなか感動します。シングル曲ばかりではなく、アルバム曲の弾けぶりも際立っていて、デビュー作に続いてこれも水準以上のアルバムです。

 そうした楽曲を歌わされることなく、しっかりと自分のものにして表現しているあややはカッコいいです。異色作となる「草原の人」は美空ひばりの詩につんく♂が曲をつけたもの。松浦亜弥はその歌い手に指名されたそうです。歌唱力をかわれたわけです。

 前作の充実ぶりも良かったですけれども、こちらは随分とボーカルが落ち着いた気がします。この年頃の1年は大きい。50過ぎの10年に相当するでしょう。日に日に成長するあややの伸びやかな姿を捉えたいい作品だと思います。気持ちがいいです。

TWO / Matsuura Aya (2003 Zetima)