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グラミー賞での鮮烈なパフォーマンスで人気を博したアラバマ・シェイクスの2作目が3年の月日を経てようやく発表されました。しかし、レコード会社の宣伝文句はやはり3年前のグラミー賞新人賞ノミネートが中心です。新人の3年ブランクはレコード会社には辛そうです。
このバンドは何と言っても黒人女性ヴォーカルのブリタニー・ハワードが話題の中心です。前作に比べると、まず髪型が変わりました。前作では何と言うことはない普通の女性らしい髪型でしたが、今回はもっこりしたリーゼントです。眼鏡も黒くなりました。
ソウル・ミュージックの先達たちへのリスペクトと、自分もその一員になったという自負が感じられます。以前はまだまだ素人くさかった彼女ですが、ここでは押しも押されもせぬスターです。この容姿の変化がアルバムを象徴しているように思います。
前作に比べると格段にプロ仕様になりました。紛れもなく同じバンドなのですが、サウンドの感触はまるで違います。前作「『ボーイズ&ガールズ パート2』みたいなアルバムだけは作らないって結論に至ったの」とブリタニーが語った通りの結果になっています。
「人間としても成長して、音楽についてもたくさん学んで、いろんなものを聴いて考えた」そうですし、「我ながら全員、担当の楽器がすごく上達したと思う」と屈託がありません。格段の進歩といってよいでしょう。
ブリタニーはギル・スコット・ヘロンなどの「あの細部に至るまでの徹底したこだわりに影響を受けたわ」と語っており、さらにテンプテーションズがどうやってポップ・ソングから「時代の先を行く曲を生み出すに至ったのか想像しながら作ったの」とも語っています。
そうなんです。どの曲も一筋縄ではいかない入魂の作品になっています。曲作りに時間をかけ、さまざまなジャンルの音楽を消化した上で細部にまでこだわって作りこんだ感覚がとてもよく分かります。その熱さは時に息苦しいほどです。
サウンドの表情は、これまたブリタニーが語る、「シンセサイザーが誕生したばかりでムーディな使われ方をしていた70年代のアフリカ系アメリカ人グループの一員になったつもりでこのアルバムを作ったのよ」という言葉が表す通りです。
カテゴライズを拒み続ける彼女たちですけれども、あの頃のソウル・ミュージックが現代に展開したものと観念しておけば、さほど大きな間違いはありません。あの頃の活気に満ちた音楽界の勢いまで再現した力量は素晴らしいです。
オーティス・レディングがオルタナ・ロックと出会ったと評される彼女たちですが、やはり私はジャニス・ジョプリンの方がぴったりきます。このアルバムは初登場全米ナンバー1に輝いており、彼女たちの未来は順風満帆なようです。カッコいいです。
Sound & Color / Alabama Shakes (2015 Rough Trade)