今日は同僚のお葬式に行ってきました。まだ40歳を過ぎたばかりなのに、本当に残念です。私はお葬式から帰ってくると、このサンディーのハワイアン・アルバムが聴きたくなります。以前、大変お世話になった叔母の訃報に接した時もそうでした。

 恐らく天国ではこういう音楽が流れているに違いないと思うんです。空の上にある天国では星とともにこんな音楽とともに安らかに穏やかに時が流れているに違いありません。そうでなければやりきれません。

 かつてハワイは「夢のハワイ」と呼ばれていました。海外旅行が超贅沢とされた時代に、いつかは行ってみたい、ひょっとすると行けるかもしれない憧れの外国の代表でした。今ではその意味では、あまりにお手頃の夢になってしまいました。

 しかし、今でもハワイは夢の国です。ブロンドのお姉さんが集うゴージャスなビーチ・ライフのハワイではなく、太平洋の島々の一つとしてのハワイです。フラとスラック・キー・ギターのハワイが私たちを魅了してくれます。

 そんなハワイですが、意外にも本物のハワイアン・ミュージックに触れる機会は多くありません。そんな中でサンディーが1996年にやってくれたのがこの「サンディーズ・ハワイ」です。あのサンセッツのサンディーがハワイをテーマに作品を作ったということで驚きました。

 サンディーは10代の頃をハワイで過ごしているわけですから、別に驚く必要はないんですが、その内容があまりに真正面からハワイアンだったので、サンセッツのサンディーのイメージが強かった私などにはやっぱり驚きでした。

 サウンドはワールド・ミュージックのカテゴリーに入れてよいほどの正統派ハワイアンです。スティール・ギターやウクレレ、スラック・キー・ギターなどをフィーチャーしたゆったりとした演奏にのせて、サンディーの天使のような歌声が流れていきます。

 ハワイと言えば海のイメージが強いのですが、サンディーの歌を聴いていると、むしろ空です。星です。海にはどうしても猥雑なイメージがつきまといますけれども、空や星はどこまでも清らかです。やっぱり天国なんです。

 「癒し」というと、向こうから感情に寄り添ってくるような下世話なイメージがありますから、ここはむしろ「清め」とでもいいたいところです。地上にも地に足のついた天国があることを教えてくれます。

 選ばれている楽曲は、ハワイで最も愛されているという盲目の天才シンガー・ソング・ライターのジョン・K・アルメイダの曲から、「アロハ・オエ」のような超スタンダード曲、日系2世のフランシス座波の「別れの磯千鳥」、マッド・チャイナマン、ディック・リーの曲まで多彩です。

 しかし、いずれも正統派のハワイアンです。演奏も日本のアロハ・スピリッツ山内雄喜やハワイの一流どころが揃っていて、サンディーの芯の強い綺麗な歌声を見事に盛り立てています。やっぱり天国はあります。あるはずです。

Sandii's Hawai'i / Sandii (1996 Sushi)