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「オズボーンズ」以前には、オジン・オズボーンなんていうお笑いコンビは考えられませんでした。恐ろしい人だったんです。後付けで考えると、このアルバムのジャケットなんかも面白いわけですが、当時はシリアスに受け止められていました。
このアルバムはオジーのソロ2作目、全米6位300万枚を売る大ヒット作品です。オジーと言えば、鳩の生首食いちぎり事件、コウモリの首食いちぎり事件、アラモ砦小便事件などの数々のエピソードで有名ですが、全部、この作品の頃です。ハチャメチャの絶頂期です。
そんな逸話の数々をシリアスに受け止めていたあの頃です。「悪魔の黒い洗礼を受けたオジーの、発狂寸前の雄叫び」とは発売時の伊藤政則さんの言葉です。一方のギタリスト、ランディー・ローズは「天使の化身」と、ライナーにも気合が入っていました。
そっち方面だけではなく、このアルバムには逸話満載です。もともとドラムはリー・カースレイク、べースはボブ・デイズリーでしたが、アルバム発表前に脱退したため、アルバムにはプレイしていないメンバーがクレジットされていました。
二人から訴訟を起こされ、面倒になったオジーは2002年のリイシューの際にドラムとベースを入れ替えてしまうという挙にでます。当然、この紙ジャケ再発は差し替えバージョンの方です。20年経って差し替えというのも珍しいです。
しかし、最大の出来事は、天使の化身ランディー・ローズがアルバム発表の4か月後に飛行機事故で亡くなってしまうという悲劇です。ランディーは元クワイエット・ライオットのギタリストですが、ほぼアメリカでは無名のギタリストでオジーに発見されたと言われます。
このランディーのギターは、「天使の化身」と言われるだけあって、クラシカルな感覚を持ち合わせた見事なものです。ヘビメタの典型のように聞こえるのは、彼がヘビメタのギターを変えたからです。とても新鮮なプレー・スタイルだったわけです。
ランディーはクラシックの素養もあったようで、後には真剣にクラシック・ギターで生きていくことも考えていたようです。偉大なギタリスト100選に入るほどの人なのに、わずか25歳で亡くなってしまうとは返す返すも残念です。オジーは大いにショックを受けたようです。
いろんな挿話が積み重なって、このアルバムの魅力はいや増しに増しています。ヴィンテージ的に熟成されてくるという、いい歳の取り方をしているアルバムだと言えるでしょう。紙ジャケ再発には伊藤さんの81、91、95、02のライナーが記載されて変遷を物語っています。
サウンドはヨーロッパ的な悪魔的ヘビメタです。キャッチーなリフと、おどろおどろしいボーカル、そして端正なギター、重いリズムとすべての要素を兼ね備えています。前作の方が売れていますが、このアルバムもけして負けてはいません。
Diary Of A Madman / Ozzy Osbourne (1981 Jet)