クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、CCRはわずか4年と短い活動期間の間に7枚ものアルバムを発表しています。シングルも12枚、20曲を全米チャートに送りこむという活躍ぶりでした。多作ですが、当時はそこまで不思議なことではありませんでした。

 とは言え、さすがに曲作りは追いつかないのでしょう、前作から7か月後に発表されたこの三作目は30分に満たないアルバムです。ミニ・アルバムないしはマキシ・シングル程度の長さしかありません。

 しかし、佳曲が並んでいます。勢いがある時にはいい曲ができるものです。シングル・カットされた「グリーン・リヴァー」と「バッド・ムーン・ライジング」は全米2位の大ヒットを記録し、アルバムは初の全米1位に輝きました。大ヒットです。

 発表されたのは1969年8月。伝説のウッドストックと同じ月です。ウッドストック・フェスティヴァルにはCCRも参加していて、このアルバムからは「バッド・ムーン・ライジング」を披露しています。圧倒的な同時代感です。

 しかし、彼らの音楽はウッドストック的なサイケデリックとは全く異なります。むしろ、50年代のアメリカンなサウンドやビートルズ出現前のポップスの香りが強いです。それが時代と共に古びない秘訣でもあるのだと思います。

 ボーナス・トラックに収められた2曲が興味深いです。いずれもスタジオ・セッションの記録なんですが、ベーシックなバンド演奏です。ギターも含めて、リズム・トラックだけと言ってよい作品です。加工前の姿と言えます。

 CCRの曲は、こうしたバンド演奏に、ジョン・フォガティーがギターやボーカルを加えていく形で出来上がっています。ジョンとリズム・セクションという関係がはっきりと見てとれます。この2曲を聴いてから、他の曲に向かうと聴き方が少し変わります。

 リズム・セクションだけに耳を傾けても、なかなかどうして味わい深いです。ロック界で最も過小評価されたリズム隊と言われるのも合点がいきます。天才ジョンのバンドには間違いありませんが、支えるメンバーも力がありました。

 CCRはシングル中心のバンドだったようです。そのため、シングル曲とそうでない曲のギャップが激しいと言われます。しかし、確かにシングル曲は文句なく素晴らしいのですが、そうではない曲でも「黒い陰謀」などはとてもカッコいいです。

 ジョン・フォガティーのボーカリストとしての実力は抜きんでていますから、どんな曲でも彼が歌えばそれなりにカッコよく聴こえます。土性骨の座った武骨なボーカルはアメリカン・ロック界でもかなり上位にランクされます。

 ここではシングル・カットされた「ローダイ」もいいです。この声で歌われる挫折した男の心情はみじめったらしくて涙が出るほど感動的です。初めてバラードも収録し、天才ジョンのスタイルが完成した作品と言えるでしょう。

Green River / Creedence Clearwater Revival (1969 Fantasy)