定年退職した先輩に会う機会があり、仕事は何もしていないと聞いていたので、「最近何をしてるんですか?」と尋ねたところ、「マラソンとアイドル」と勢い込んで答えてくれました。マラソンは本格的で各地のマラソン大会でフルマラソンを走っているそうです。

 同時にももクロのコンサートは欠かさず見に行っているそうで、一緒に行く同年輩の友人も出来たそうです。団塊の世代も何だか凄いことになっています。その先輩からの一押しがこのベビーメタルでした。お前も聴け、と言われたので買ってみました。

 これは2014年3月1日に武道館で行われた彼女たちのライブの実況録音盤です。武道館単独ライブ最年少記録だそうです。この時、ボーカルのスゥメタルは16歳、ユイメタルとモアメタルは14歳です。スゥはともかく後の二人は本当に子どもです。

 アイドル・グループ、さくら学院にはクラブ活動なるコンセプトがあり、バトン部やクッキング部、それに帰宅部まであります。その一つ重音部がベビーメタルです。スゥメタルこと中元すず香が学院を卒業してからは、課外活動という位置づけです。

 ベビーメタルのコンセプトはJポップ・アイドルとヘビー・メタルの融合です。誕生にあたっては、EDMとアイドルの融合体パフュームが意識されていたようです。確かにそう考えると大変分かりやすいです。プロダクションは同じアミューズですし。

 彼女たちは海外でも人気を博し、レディー・ガガのサポートを務めた他、ビルボード・チャートにも顔を出し、世界中で公演も行っています。ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズも賛辞を送っているようです。

 団塊の世代を始め、おじさん連中にも人気があり、アマゾンのカスタマー・レビューには50台の熱い評価が満載です。意味合いとしては、アイドル演歌と同じようなものです。アイドルの歌ですが、流れてくるサウンドは何とも懐かしい。昔取った杵柄です。

 しかし、メタルなんです。メタルは世界共通語ですし、がっちりと世界が出来上がっています。案の定、日本でも海外でもベビーメタルを巡って賛否両論かまびすしい限りです。メタル界らしいなと微笑ましいです。大いに議論して頂きたいものです。

 このライブでは、神バンドと呼ばれる生バンドがバックを務めています。名うてのスタジオ・ミュージシャンばかりで、これが全く手を抜かない本格的なメタルを奏でます。そこにアイドル歌謡が乗っかるわけですが、スゥメタルのボーカルはかなりいい線行っています。

 これはライブですから、生で歌っていると信じていいますが、これはなかなかうまいです。メタルはボーカルが下手だとさすがにダメですが、ベビーメタルは上手い。かっこいいです。さくら学院から歌で選抜されたんでしょう。

 キツネ憑きをモチーフに物語性も高く、ゴシック要素もふんだんに取り込んでビジュアル的にも面白いです。童謡を取り込んだジャパニーズ仕様も海外制覇には必要でしょうし、これはなかなか期待が持てます。先輩の目は確かでした。

Live At Budokan -Red Night- / Babymetal (2015 Toy's Factory)