竹ノ内豊主演の「素敵な選TAXI」は、バカリズムの脚本デビュー作品でした。バカリズムらしい飄々としたノリが楽しい面白いドラマだったので、結局、ワンクール全部見てしまいました。南沢奈央の演じるキャラクターもポイント高かったと思います。

 タクシーがタイムマシンとなっていて、人生の選択をやり直せるというお話で、よく考えると辻褄が合わなかったりするのですが、そこは面白いので気になりません。一話完結で、ゲストのレベル感が今一つよく分からないところも斬新でした。

 そのドラマのオープニングに流れる音楽がとてもカッコよかったので、ここにこうしてサウンドトラックを買いました。なお、主題歌はエンディングに流れるaikoの「あたしの向こう」という曲ですが、残念ながらこのサントラには収録されていません。

 それではこのサントラは何かというと、本間勇輔によるインストゥルメンタル作品です。全部で22曲入っていて、オープニングに流れるのは、その名もずばり「選TAXIオープニング」です。どんな音楽かというと、これはスウィング・ジャズです。

 1分に満たない曲ですけれども、7曲目の「選TAXIメイン・タイトル」のオープニング仕様となっていて、サントラ全体のテーマ曲でもあります。黄色い背景を走るタクシーのイラストがCG風ではなく、人力風で、それに音楽がぴったり合っていました。

 演奏はスタジオ・ミュージシャンの方々だと思います。渡辺貞夫バンドにいた渡嘉敷祐一や、彼と同じバンドをやっている野力奏一、ベースより大きい巨人と言われる加瀬達、村田陽一を始めとするソリッド・ブラスの面々などがクレジットされています。

 トロンボーンの村田陽一はジャガタラにもいた人ですし、他の人々も丁寧に調べていくと、いろいろと面白い話が見つかるのでしょう。参加している作品を並べると、とてつもないことになりそうな気がします。

 本作の制作者である本間勇輔は、代表作が「古畑任三郎」だと聞いて納得しました。このメイン・テーマもそこはかとなく「古畑任三郎」の雰囲気があります。キャッチーなメロディーのビッグ・バンド・ジャズは、とてもスウィングしています。

 メイン・テーマでは分厚いホーン・セクションももちろんいいのですが、私は特に渡嘉敷祐一のドラムが好きです。太いスティックで叩いているようなバスドラさばきが素敵です。ビッグ・バンドらしい音です。

 番組に使われた2分程度の曲がどんどん繰り出されてくるので、あっという間の45分です。各シーンに合わせてバラエティー豊かですが、どのシーンで流れていたのか一切思い出しませんでした。題名から一目瞭然の劇中劇「犯罪刑事」ですら分かりませんでした。

 記憶力のせいではなく、サントラとはいえ音楽作品として完成しているという理由だと解釈します。アマゾンだとヒーリング/ニューエイジに分類されていますが、ちゃんとジャズに分類すべきだと思います。

素敵な選TAXI / 本間勇輔 (2014 ポニーキャニオン)