サンディーは1976年の第7回世界歌謡祭でグランプリ最優秀歌唱賞を受賞しています。庄野真代が作詞した「グッバイ・モーニング」という曲です。ヤマハのHPによれば、歌手に対して2000ドル相当円と賞状・金メダリオンが贈呈されています。

 その後のサンディーはさまざまな名義で音楽活動をしたり、グラビアを飾ったりと、それなりに活躍します。そして1980年に細野晴臣のプロデュースでソロ・アルバムを発表しました。それがこの「イーティング・プレジャー」です。

 帯にはシンプルに「いただきます!!」と書かれていて、CDを最後まで聞くと♪御馳走様♪と元気のいい声が聞こえてきます。頭語があれば結語がある。きちんとしているというか、ユーモラスというか、当時のYMO周辺の雰囲気が伝わってくる構成です。

 この作品は、細野晴臣プロデュースに加えて、高橋幸宏に坂本龍一とYMOのメンバーが全て参加している他、大村憲司や松武秀樹などYMO関係者が全面的に係わっていて、裏YMOアルバム的な捉え方をされることもあります。

 確かに1曲目など、まさにいわゆる「テクノ・ポップ」です。あの時代のテクノ・ポップの典型です。このリズムの刻み方、この音色。もう冒頭の音がなり始めた瞬間に懐かしくなってしまいます。細野さんらしい曲です。

 この曲は「アイドルの時代」と題されています。当時、YMOがアイドルの作品を仕上げることが結構ありました。最右翼には伊藤つかさが位置しています。サンディーは実力派歌手ですから、さすがにYMOとがっぷり四つに組んでいます。

 有名な曲では「ドリップ・ドライ・アイズ」があります。高橋幸宏の曲で、のちに彼のソロ・アルバムにも収録されます。幸宏バージョンはヨーロピアンな感じですが、こちらはレゲエです。こちらのアレンジの方が好きな人も多いことでしょう。いい曲です。

 しかし、YMO一辺倒かというとそうではなくて、サンセッツ仲間の久保田麻琴や井上憲一なども参加しています。久保田麻琴は曲も2曲提供していて、さすがに夫婦となるだけあってやはりこちらの方が息があっています。沖縄風の曲などまさにぴったり。

 他には、ドクター・ジョンの仲間ロニー・バロンの曲もありますし、モータウンのマーサ&ザ・ヴァンデラスのヒット曲「ジミー・マック」のカバーもあります。しかし、何と言ってもインド好きには「シャンティー」と「オイノリ」です。アニール・チョウカーなる謎の人物が係わっています。

 名前からするとインド人で、クレジットによれば、スピリチュアル・ガイダンス並びにボーカルを担当しています。ヒンズーの平穏な精神を纏っているということでしょう。後のサンディーの展開を考えあわせるとまるで違和感のないお話です。

 ちなみにこのキャベツ・ブラのジャケットは初版のみで、本人も気にいらず、すぐに別のジャケットに差し替えられています。紙ジャケ再発に際して、オリジナルが復活しました。時が経ち、本人とも和解したんでしょう。サンディーの若気の至りでした。

Eating Pleasure / Sandii (1980 Alfa)