コンコンでんがな、と、まずは似非大阪弁で突っ込みたくなりますね。2013年暮れから世界中を席巻したイルヴィスのお気楽ソングです。その名も「ザ・フォックス」。ユーチューブから火が着いたところがサイの「江南スタイル」に比較される大ヒット曲です。

 そのユーチューブですけれども、2014年11月現在、カウンターは4億6千万回を超えています。凄くないですか。空恐ろしい数字です。子どもにも受けるところが秘訣ではないかと思われます。そうでなければここまで来ない。

 4億回も視聴されていますから、ご存じの方も多いでしょう。この曲は何ていうことのないエレクトロニック・ポップな楽曲です。ただ、結構キャッチーでフックも効いているので、なかなか耳について離れなくなる曲ではあります。

 ヒットの原因は何と言ってもそのお気楽な歌詞でしょう。歌詞のメッセージは一つ、♪キツネは何て鳴くんだろう♪という問いかけです。初めて聴く日本人はほぼ例外なく驚きますよね。だってコンコンでしょう。ケーンというのもありますが。

 しかし、こう歌われているということは、英語にはないということなんでしょうね。ノルウェー語にもない。英国にもキツネは普通にいますけれども、キツネ狩りの対象ですから、全動物共通の断末魔の叫びしか聞いていないんでしょうか。

 歌詞は大変面白くて、1番はまず犬、猫、鳥、ネズミ、牛、蛙などの鳴き声を並べて、キツネだけが標準形を持たないということが強調されます。ここまでのところに素晴らしい教育効果があることが分かります。

 英語を勉強すると、犬は英語ではバウワウとかウーフとか鳴くし、猫はミャーオであるということを知って驚くとともに、英語と日本語の違いに目を開かされるという経験をするものです。それを歌で学ぶことが出来るわけですからね。全国の幼児英語教室必携ですね。

 言語はそれぞれ音が違いますから、同じ鳴き声でも近似する音が違うわけで、それが表記の違いにもなります。日本語は英語などに比べて音の数が少ないので精度は低いのではないでしょうか。ワンワンって何や、と思いますよね。

 と、こんな風に歌詞を題材に大人から子どもまでお茶の間に話題を提供する優れた楽曲だと思います。本人たちは芸人というか、日本で言うタレントですから、至ってのんきにこの曲を作ったようです。

 しかし、こういう歌は日本語ではなかなか出てきませんよね。もちろん、世界に誇るみんなの歌があるわけですが、明らかに子ども向けに出来ています。面白い歌詞の歌はどうしても軽く見られてしまいます。英語と日本語の感覚の違いですね。

 ともあれ、PVもよく出来ていますし、楽しいことこの上ないです。米国でもトップ10ヒットとなりましたし、世界各国でチャートを席巻しています。ただ、日本ではさほどではない様子です。大たい問いかける意味が分からないですからね。答えはコンコンに決まってまんがな。

The Fox / Ylvis (2013 Concorde)