私は学生時代ロキシー・ミュージックの大ファンでした。しかし、せっかく東京に出てきたのに、ロキシーはすでに活動を休止していて、ライブを見るなんていう夢はかなわないものだと諦めておりました。

 そうしたところが、唐突に活動再開の発表があり、「マニフェスト」が発表になって、さらには来日まで。欣喜雀躍、小躍りして喜びんで、そのままプレイガイドにチケットを買いに行きましたよ。当時はオンラインでチケットなんて買えませんでしたしね。

 会場は日本武道館でした。一緒に行くはずだった友人が、何と引っ越してしまっていたことが当日に分かるという訳の分からない事情もありましたが、無事にライブを堪能することができました。

 その時と同じマニフェスト・ツアーのライブ盤が唐突に発売されましたので、懐かしさのあまり、さっそく入手いたしました。1979年4月20日の米国オークランド・アリーナでのライブです。日本に来たのはこの後になります。

 冒頭で「お久しぶり」とフェリーさんが挨拶して始まります。4年間のブランクを感じさせるしみじみした挨拶ですね。この間に各自ソロで活躍していて、コンサートなんかもやっていましたが、こうしてバンドが揃うとブランク感も生じるんでしょうね。

 バンド・メンバーはコアとなるフェリーさん、アンディ・マッケイ、フィル・マンザネラの三人に、ドラムのポール・トンプソン、ベースは若いゲイリー・ティブス、そしてキーボードがアラン・スペナーのわずか6人のセットです。

 曲順も恐らく日本のセットと同じだと思います。冒頭の「マニフェスト」のイントロが鳴りだした時のドキドキ感は今でもよく覚えています。決して派手な曲ではありませんが、シンプルな出だしがこうしたオープニングには良く似合います。

 新しいアルバムからの曲はほぼ前半に集中していて、後はロキシー・クラシックスのオン・パレードです。特に初期の2枚目、3枚目のねじねじした曲が多く選ばれていて、いかにもロキシーなツアーの性格を良く表しています。

 そしてこのセットでは最後にデビュー・アルバムの冒頭に置かれていた「リメイク/リモデル」が置かれています。これはメンバーがそれぞれソロをとるので、とてもライブ向きです。ここではマンザネラ兄さんは何と「サティスファクション」やってます。

 ロキシー欠乏症に悩まされていた私を含めたファンの皆さんにはとてもよい贈り物になりました。新作を紹介しつつも、代表曲をしっかり演奏して、いかにも活動再開という雰囲気を醸し出しています。ファン・サービスですね。

 ただし、この作品は、FMラジオで放送するための音源らしくて、決して音がいい訳ではありません。ラジオ特有の音域が上下に狭いような音ですから、ファンの人が懐かしんで買うのはいいですけれども、ロキシーは初めてと言う人にはあまりお勧めできません。

Showing Out / Roxy Music (2014 Easy Action)