ホルガーおじさんの3枚目のソロ・アルバムは子どもの絵がジャケットに使われています。クレジットはステファン・プランクとなっていますから、この作品の制作に深く関わっているコニー・プランクさんの息子さんでしょうか。ほのぼのしています。
邦題の「ノーマルの頂へ」は原題をそのまんま直訳したものです。メーカー資料によれば、「ゆったりとしたドラムをバックにトレモロ・ギターが浮遊する、心地好さと不穏なムードが同居する」作品です。このムードがノーマルの頂きに向かって登っていくんですね。
前作が妙にポップな雰囲気だったのに対して、こちらのアルバムは不穏さが優っています。より地味で質実剛健、どこかにホラー映画的なニュアンスがあります。ノーマルの頂きなんて狂気の裏返しでしかないわけですからね。
この作品には、前作に引き続いてカンのヤキ・リーヴェツァイトがドラムで全面的に参加しています。加えて、ホルガーおじさんの当時の交友関係を反映して、元PILのベーシスト、ジャー・ウォブル、そしてドイツのパンク・バンドSYPHが参加しています。コニーさんもシンセ・バイオリンをプレイしています。
SYPHは1978年に結成されたバンドで、ホルガーおじさんは2作品をプロデュースしています。カンが若者の間にも大いに人気があったことが分かりますね。SYPHは、タイトル曲にバンド丸ごと参加していて、他の曲とは一線を画す不穏なサウンドを展開しています。
ジャー・ウォブルさんは、アルバム最後の曲「ヒス・アンド・リッスン」で、ぶんぶんベースを弾いています。彼らしいゆったりとした野太い音が同じベーシストとしてのホルガーさんを刺激したのでしょう。
余談ですが、ジャー・ウォブルさんがホルガーさんにフューのシングル「終曲/うらはら」を聴かせたところ、ホルガーさんがやけに面白がったことから、フューのアルバム・プロデュースにつながったということです。
アルバムは、A面に「オード・トゥ・パフューム」1曲のみ、B面がタイトル曲を含む全4曲とカン的な構成です。私はB面ばかり聴いていたので、そちらがA面かと思っていました。とにかくタイトル曲が素晴らしすぎます。
今でも私の頭の中にしっかりと根を生やしていて、折に触れ、脳内で鳴り響くフェヴァリット・ソング、まさにヘビー・ローテーションです。クチュクチュなってるリズムを核にサウンドがコラージュされていく様は圧巻です。ボーカルの処理も素晴らしい。
前作に比べると重い。しかし重すぎるわけではありません。前作と同じような制作過程を経ているのだと思いますが、今回はより落ち着いた雰囲気が漂っていて、それが「心地好さと不穏なムード」の所以です。
当時の最先端を行くサウンドでしたが、今聴いても唯一無二の気持ちの良いサウンドは十分に刺激的です。私はきっと一生この作品を聴いていると思います。
On the Way to the Peak of Normal / Holger Czukay (1981 Mute)
邦題の「ノーマルの頂へ」は原題をそのまんま直訳したものです。メーカー資料によれば、「ゆったりとしたドラムをバックにトレモロ・ギターが浮遊する、心地好さと不穏なムードが同居する」作品です。このムードがノーマルの頂きに向かって登っていくんですね。
前作が妙にポップな雰囲気だったのに対して、こちらのアルバムは不穏さが優っています。より地味で質実剛健、どこかにホラー映画的なニュアンスがあります。ノーマルの頂きなんて狂気の裏返しでしかないわけですからね。
この作品には、前作に引き続いてカンのヤキ・リーヴェツァイトがドラムで全面的に参加しています。加えて、ホルガーおじさんの当時の交友関係を反映して、元PILのベーシスト、ジャー・ウォブル、そしてドイツのパンク・バンドSYPHが参加しています。コニーさんもシンセ・バイオリンをプレイしています。
SYPHは1978年に結成されたバンドで、ホルガーおじさんは2作品をプロデュースしています。カンが若者の間にも大いに人気があったことが分かりますね。SYPHは、タイトル曲にバンド丸ごと参加していて、他の曲とは一線を画す不穏なサウンドを展開しています。
ジャー・ウォブルさんは、アルバム最後の曲「ヒス・アンド・リッスン」で、ぶんぶんベースを弾いています。彼らしいゆったりとした野太い音が同じベーシストとしてのホルガーさんを刺激したのでしょう。
余談ですが、ジャー・ウォブルさんがホルガーさんにフューのシングル「終曲/うらはら」を聴かせたところ、ホルガーさんがやけに面白がったことから、フューのアルバム・プロデュースにつながったということです。
アルバムは、A面に「オード・トゥ・パフューム」1曲のみ、B面がタイトル曲を含む全4曲とカン的な構成です。私はB面ばかり聴いていたので、そちらがA面かと思っていました。とにかくタイトル曲が素晴らしすぎます。
今でも私の頭の中にしっかりと根を生やしていて、折に触れ、脳内で鳴り響くフェヴァリット・ソング、まさにヘビー・ローテーションです。クチュクチュなってるリズムを核にサウンドがコラージュされていく様は圧巻です。ボーカルの処理も素晴らしい。
前作に比べると重い。しかし重すぎるわけではありません。前作と同じような制作過程を経ているのだと思いますが、今回はより落ち着いた雰囲気が漂っていて、それが「心地好さと不穏なムード」の所以です。
当時の最先端を行くサウンドでしたが、今聴いても唯一無二の気持ちの良いサウンドは十分に刺激的です。私はきっと一生この作品を聴いていると思います。
On the Way to the Peak of Normal / Holger Czukay (1981 Mute)