ロック御三家の中でも最も人気のあった世良公則&ツイストです。そういうバンド名のはずなんですが、このデビュー盤にはどこにもそういう表記はなくて、単にツイストと書いてあります。表は世良さん一人、裏はメンバー全員の写真、曰くありげな雰囲気ですね。

 ツイストは「ザ・ベストテン」との兼ね合いで語られることが多いです。私も同時代でしたから、ツイストは「ザ・ベストテン」の常連だったという事実が何よりも重いです。一時期はほとんど毎週出演していました。

 それに対して、ウィキペディアのエントリがとても面白いです。以前、そのために再結成されたツイストがロック・フェスのトリを務めるドキュメンタリー番組を見たことがあります。その時に違和感を感じたのですけれども、ウィキペディアを見て合点がいきました。

 何に合点が言ったかと申しますと、私はザ・ベストテンのツイストと認識していて、日本のロック界のツイストという理解があまりなかったのだなという点です。まさに同時代に日本のロックではインディーズ系統を聴いていたので、日本のロック界というものがあまり分かっていませんでした。

 こんな苦悩があったとは大変なことだなあというのんびりした感想をウィキペディアを読みながら感じてしまいました。日本のロック界を背負っていたのだとすると、再結成がロック・フェスでの目玉にもなるはずです。

 ツイストは日本でロックがメジャーになるきっかけを作ったバンドとして日本のロック界に大きな足跡を残したバンドだったんですね。絶大な人気がありましたし、世良さんのどすの利いたボーカルは迫力満点でした。

 「あんたのバラード」がポプコンと世界歌謡祭でグランプリを取るというアマチュア・バンドとしては最高の栄誉を獲得して、プロ・デビューした彼らは、第二弾の「宿無し」でオリコン3位、ザ・ベストテンでは1位となります。

 このデビューは確かに衝撃的でした。そして、このデビュー・アルバムは初登場1位の快挙を成し遂げます。ロック・バンドがメジャーとなった瞬間だったと言ってよいということになっています。バンド・メンバーはプロ・デビュー時にほとんど入れ替えられるというごたごたはあったものの、ツイストの快進撃はここから始まりました。

 同じ御三家の原田真二と比べると、かなりロックですが、チャーと比べると歌謡曲的です。ロックな演奏ですけれども、チャーさんの感覚とはまるで違って、とても日本的な歌謡ロックじゃないかと思います。

 そこがツイストの魅力であったのではないかと思います。ちょうどカラオケが市民権を得だした頃で、ツイストの楽曲は、若者にとっては大変気持ち良く歌える歌でした。古いんだか新しいんだかよく分からない世界は面白かったことを覚えています。

 それほど長続きはしませんでしたが、日本のロックにとっては重要なバンドです。

ツイスト / ツイスト (1978 Yamaha)