唐津発、全力疾走ガールズ、たんこぶちんです。「女子高生バンド、卒業、でも、たんこぶちんロックはつづく」と、素敵な煽りでワクワク度大です。地方出身の実力派バンドによるデビュー作はとても楽しいロック・アルバムです。

 まず、上手い。ツイン・リードにベース、ドラムス、キーボードの正しいロック編成で繰り出される演奏は見事です。私の若い頃の常識からすると、アマチュア高校生バンドがこんなに上手くていいのかと思います。もちろんこの作品はプロ仕様ですが、同包されているDVDのライブ演奏も上手です。

 昔は女の子ばかりのバンドであれば、まずはアイドル活動をさせられました。この作品では、シングル・カットされた「ドレミ・ファン・ライフ」や「シアワセタランチュラ」などはアイドル仕様ではありますが、昔はそれにとどまらず、「オールスター水泳大会」などに出演させられたりしましたよね。

 もしくは、過度にロックなコミュニティーにからめとられる危険もありました。このアルバムではプリプリの中山加奈子さんが作詞している「ウィ・ゴナ・ロック」がその世界に近いと思います。反抗としてのロックの世界です。

 たんこぶちんはそんな圧力をものともせず、楽しげに軽やかにロックしています。本当に楽しそうで感動します。原点に戻った気がしますね。そうなんです。ロックは楽しいものなんです。本当にいいですね。

 彼女たちは小学校6年生の頃からバンド活動をしています。彼女たちを指導した横井先生は凄いと思います。こうして素直に彼女たちの魅力を引き出している。すくすく育った彼女たちは、数々のコンテストで名をはせて、見事にこうしてデビュー・アルバムを出すに至りました。

 かなり端折りましたけれども、アマチュア・バンドの典型的な成功パターンです。その上、ユーチューブが人気に火を着けています。後に続くバンド少女たちの憧れとなっていくのではないかと思われます。

 この作品は彼女たちのデビュー作で、プロデュースはhitomiの「ラヴ2000」の作者として知られる鎌田雅人さんです。楽曲は「ドレミ・ファン・ライフ」がAKBの曲を多く手掛けている成瀬英樹さんだったり、他には鎌田さんだったりしますし、作詞はたんこぶちん憧れのチャットモンチーの高橋久美子さんなどが係わっています。

 このあたりがプロ仕様ですが、もちろん自作曲もあって、私はむしろそちらの方が好きです。あまり飾りのないシンプルなロックなだけにより彼女たちの魅力を堪能できます。ツイン・リード・ギターのバトルもかっこいいですし、歌詞の世界も自然でよいです。

 これらの楽曲は、ボーカルが可愛いところが女子高生仕様ですが、演奏は本格的なロック仕様です。「コイゴコロ」や「UJI UJI」などがお薦め、アイドル仕様にせずにこちらで押し通してもよかったような気がします。いずれにせよ、このまま伸びていってほしいものです。

Tancobuchin / たんこぶちん (2014 Yamaha)