ジャケットは自主規制しました。悪しからず。

 これはダッチワイフでしょうか。不気味な絵で、私は日野日出志の「蔵六の奇病」を思いだしてしまいました。

 「夢のまた夢」とは夢のなかで見る夢のことでしょうかね。以前、夢の中で怪物に追いかけられました。私は実に冷静に「これは夢だから、いざとなったら目を覚まそう」と思っていました。ところが、いざ目を覚ましても状況が変わらない。パニックになりかけたところで目が覚めました。本当に怖かったです。

 与太話はさておき、フォルムラ・トレはイタリアのバンドです。英語読みをするとフォーミュラ・スリー、自動車レースのクラスの名前です。フォーミュラ・ワンがいわゆるF1で最高峰の自動車レースなのに対し、こちらはちょうど大リーグに対する3Aのような位置づけだと思います。

 そのレースのクラスに引っかけて3人組であることを強調したのが名前の由来の模様です。ワンダー・スリー、最近では3匹のおっさんなど、三人組には独特の魔力がありますから、こだわる気持ちはよく分かります。

 フォルムラ・トレはイタリアン・ロック界の大物です。特にボーカルとギターのアルベルト・ラディウスは、その後ソロとしても活躍することになりましたので、よく耳にする名前です。彼とキーボードのロレンツィ、ドラムのチッコの三人組で、キーボードの活躍が目立ちますから、一応キーボード・トリオと言って差支えないと思います。

 彼らは若くしてスタジオ・ミュージシャンとしてならしていたことから、自然にお互い知り合うこととなり、結成したのがこのバンドです。彼らは当時すでに人気スターだったルーチョ・バッティスティのレーベル、ヌメロ・ウーノからデビューします。

 デビュー・シングルがいきなりトップ10ヒットとなると、彼らは自身のアルバム制作に加え、ルーチョのアルバムへの参加など大活躍いたします。そして、この作品が彼らの3作目になります。チャート的にはさほど上位にはいかなかったようですが、彼らの代表作の一つであることは間違いありません。

 この作品は変形ジャケットに包まれた形からしてプログレッシブな作品です。彼らの作品中最もプログレッシブ度が強いと言われています。アルベルトさんは必ずしも骨の髄までプログレの人ではありませんから、これは貴重です。

 生ピアノも含めたキーボードとボーカルが中心の構成で、エマーソン、レイク&パーマーを彷彿させるところもあれば、ムーディー・ブルースやピンク・フロイドっぽくもあります。しかし、大仰で奥深い構成とするのではなくて、より生々しいタッチが持ち味でもあります。

 エキサイティングであったり、ドリーミーであったりと、何とも捉えどころのないサウンドで、そこが魅力だとも言えると思います。演奏力は文句なく高いですし。

 彼らはこのアルバムの曲「永遠」を演奏してブラジルの国際音楽フェスで優勝します。その後、ブラジルでは彼らの人気は不動のものとなったようです。ブラジルにもプログレ。

Sognando E Risognando / Formula 3 (1972 Numero Uno)