私は特別女の子向けのアニメが大好きという訳ではありませんが、多くの人がそうであるように、姉が子どもの頃と娘が小さい時と、人生で二回、親しく女の子向けアニメに親しむ時期がありました。

 その第二期に大いに盛り上がっていたのが「美少女戦士セーラームーン」でした。オタク男性の間でも異様に人気がありましたが、それは迷惑な話ですよね。ここは素直に女の子たちが大好きだったセーラームーンとして語るのが正しいというものです。

 この作品は、セーラームーン20周年を記念して、さまざまな女性アーティストが名曲の数々をカバーしたトリビュート・アルバムです。顔ぶれをみると企画の力の入り具合が分かります。参加アーティストも素直にトリビュートしていて力が入っています。

 1曲目は言わずと知れたテーマソング「ムーンライト伝説」をももクロが歌っています。元気ですけれども少し憂いを帯びた風情がなかなか素晴らしいです。ももクロはこの他に「タキシードミラージュ」もカバーしていて、一組だけ2曲を寄せています。それも代表曲。勢いのなせる技ですね。

 2曲目はもっとも力を入れてトリビュートしている中川しょこたんの「ハート・ムーヴィン」です。セーラームーンのTV放映が人生のビッグバンだったと語るしょこたんの力の入り具合は半端ないです。正統派アイドル的に声が随分処理された録音が味を深めています。

 次いで福原遥。ご存知ですか?「クッキンアイドル・アイ!マイ!まいん」のまいんちゃん15歳です、って、私は知りませんでしたよ。再放送組ですね。子ども代表でなかなか健闘しています。

 続くのは、やくしまるえつこ、トミー・ヘヴンリー6、さらにはセーラー服を衣装にしていた後藤まりこ、女王蜂のアヴちゃんとディープな感じのアーティストとなります。そしてももクロ二曲目を挟んで、今度はAKIBAから世界を目指す桃井はるこをもってきます。

 そして何と「アニメソングの女王」堀江美都子さんが登場します。彼女は実際に「セーラーギャラクシア」役で出ていますから、王道中の王道ですね。そして最後は川本真琴。この選択だけはよく分かりません。本人にもあまり思い入れがありそうでもないですし。

 ボートラはクレモンティーヌによるフランス語版「ムーンライト伝説」です。セーラームーン人気は日本に留まりませんから、これは正しいボーナスだと思います。

 企画を考えるのが楽しくてしょうがなかったのではないでしょうか。さまざまなアレンジにもきちんと耐えられるだけの名曲が揃っていますし、何よりも話を受けたアーティストの皆さんが大変喜んでいる様子がよく分かります。

 女子の皆さんがうらやましくなる一枚です。とりわけ「ムーンライト伝説」は歌詞もとても素晴らしいと思います。名曲です。

美少女戦士セーラームーン The 20th Anniversary Memorial Tribute(2014 キング)