今日からお休みなので、懸案だったハルサイ聴き比べに挑戦してみました。三作聴いてみました。以前とりあげたブーレーズ、今日取り上げるアンタル・ドラティ、そしてコリン・デーヴィスの三枚です。

 ネットを調べてみますと、聴き比べをしている方は結構いらっしゃいます。いろいろとご意見をお伺いすると、バラバラですね。各盤の評価はさまざまであることが分かりました。クラシックに造詣の深い方でもそうなんですから、随分気が楽になりました。

 アンタル・ドラティはハンガリーの出身の指揮者で、バレエ音楽に定評があるということです。戦後まもなくアメリカに帰化していて、アメリカを活動の中心としています。オーケストラ建て直しの名人でもあるらしく、数々のオケを救ったそうです。

 数多くの録音を残している人で、特にストラヴィンスキーの三大バレエ曲には定評があります。バレエ音楽に定評があるということは、実際にバレエとともに何度も演奏しているということでもあります。やはり音楽は生き物ですから、この経験は大きいでしょうね。

 デトロイト交響楽団と言えば、あまり名前を聞きませんが、アメリカの十大オーケストラに名を連ねる名門だということです。そして、しばらく低迷期を経験した後、ドラティさんが音楽監督になったことで再び黄金期を迎えました。

 このドラティ指揮「春の祭典」はフランスのシャルル・クロス・アカデミーによる権威あるグランプリ・デュ・ディスク大賞を受賞しています。押しも押されもせぬ名盤というお墨付きを得ていると言えるかと思います。

 ここまで予備知識を仕入れておいて、このハルサイに耳を傾けてみましょう。まず、迫力は満点です。ブーレーズ指揮のハルサイに比べると随分大らかな感じもします。デジタル録音なので、音の分離がいいのかホール全体に響く残響的なものはあまりありません。生な感じと言えばいいでしょうか。

 ネットで皆さんのご意見を見てみると、大絶賛する方、つまらないとする方、両方いらっしゃいます。巨匠の堂々たる名演とするか、冒険がなくて凡庸であるとするか。有名な11連打のところはミスだという指摘もありました。

 私などは皆様のご意見を読むたびに右往左往してしまいます。どれを読んでも、恐らく対照されている作品に比べるとそうなのかもしれないなと思えてしまうんですよね。しかし、そうなると何も書けなくなってしまうので、気を取り直しましょう。

 私はこの演奏はなかなか好きです。何と言いますか、ベンチマークとしてとても適当な気がします。端正でありながら、迫力もあって、強烈なリズムがかっこいいです。なかなか語彙が少ないわけですけれども、これをスタンダードにして、さらに聴き進めていきたいと思います。

 精進精進。

 
Stravinsky : Le Sacre Du Printemps / Antal Dorati, Detroit Symphony Orchestra (1982 Decca)