$あれも聴きたいこれも聴きたい 劇場で公開された映画に関して、ネットの世界で分からないことはないかのように思っていましたが、この作品、カールシュテン・ヴィヒニアルツ監督の「ブルー・ムーン」のことはほとんど分かりませんでした。ドイツ語が堪能でないとだめかもしれません。

 30分ほどネットをうろうろして得た情報は、この映画がスリラーであるということくらいです。ストーリーは分かりませんでしたが、似たような作品として、「デッド・ゾーン」「007私を愛したスパイ」なんていう作品が挙げられています。

 おそらく中途半端なB級映画だったんでしょうね。ジャケットにあしらわれたスチールの数々を見ればいかにもへんてこりんな映画です。面白いかもしれませんね。

 もう一つ見つけた情報は主演のビルジット・アンデルスはメビウスさんの憧れの人だったというもの。このサイトは半ばジョークのようなので、事の真相はよく分かりません。まあ真偽のほどが分かったからといって、どうということもありませんが。

 この作品は映画「ブルー・ムーン」のサウンドトラックです。メビウスさんがプロデュースまでこなしており、独力で仕上げた作品のようです。彼の個人名義のアルバムとしては2枚目ということになります。

 サントラらしく短い曲が11曲入っています。いかにもサントラ然としていて、劇伴音楽らしく雰囲気から曲に入っている感じがありありとします。それにリズムがしっかりしています。映像のリズムと共鳴しているのではないかと思います。これまでの彼の軌跡のどこにも登場しなかったぼこぼこしたリズムです。

 その上に奇妙な電子音が流れて曲が形作られているわけです。サントラとの相性はぴったりですね。これなら何枚でも作品を作れそうです。そうならなかったのは、彼が音楽の目的を嫌ったからではないかと思います。やっぱり意味が出てきますからね、サントラは。

 いつもより曲が分かりやすいと評価されています。ドラマ性があるとか、5曲目の「ダスト・オフ」はベースラインがジャパンのミック・カーンのようだと書いている人もいました。ジャパンのようなバンブーな音が入っているからだと思います。

 メビウスさんは本当に変幻自在な人です。これはソロとは言っても監督とのコラボレーションでしょう。サントラに徹していて、またこれまでとは表情が違います。融通無碍、禅の境地です。これはこれで気持ちのいい音楽です。

 ただ、宣伝文句の「隠れた名盤」というほどの持ち上げ方はどうかなと思います。確かに「隠れた」盤ではありますが、そこまで「名盤」と言えるかどうか。やや疑問です。

Blue Moon (Original Motion-Picture Sound-Track) / Moebius (1986 Sky)

さすがに見当たりませんので、最近のライブ映像をどうぞ。