![$あれも聴きたいこれも聴きたい](https://stat.ameba.jp/user_images/20130514/11/memeren3/ad/cc/j/t02000202_0200020212538324085.jpg?caw=800)
そんなお茶目な楽器を目いっぱい使った一大交響曲がこのメシアンの代表作「トゥーランガリラ交響曲」です。全体は10楽章からなる80分弱の長大なシンフォニーです。現代音楽作品には珍しく何度も何度も演奏されていて、日本でもNHKの「N響アワー」の冒頭に使われていた時期があるようです。要するに人気が高いんですね。
初めて聴きましたが、これは私も大好きです。大オーケストラにピアノとオンド・マルトノというソロ楽器を配しているわけですが、私にとってはグロッケンシュピールやチェレスタ、チューブラー・ベルズ、ヴィヴラフォンなどのパーカッション類が何よりです。
それと打楽器。メシアンという人はティンパニーを使わない人だそうで、本作品もティンパニーはありません。しかし、バスドラを始め、打楽器は8人もの奏者が演奏します。
ピアノも極めて打楽器的な使われ方をしています。ピアノは超絶技巧を求められる難曲らしいですが、いかにも現代音楽的な透明な音色で一音一音がくっきりと演奏されていきます。
このパーカッション、打楽器、ピアノのアンサンブルが素敵なんですね、この作品。叙情に流されることはなく、工場音のようなクールな音が全編にわたって大いに鳴り響きます。そこにひゅるひゅるとオンド・マルトノの変な音が入るわけで、とても面白いです。
メシアンによれば、曲のタイトルはサンスクリットからとられたそうで、愛、喜び、時間、リズム、生命、死など幅広い意味を持つといいます。全部じゃん、と思ってしまいます。単に言葉の響きが気に入ったんじゃないでしょうかね。
演奏は、デッカ専属の何でも指揮者リッカルド・シャイイーによるオランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のものです。ピアノはおしゃれなジャン=イヴ・ティボーデ、オンド・マルトノは日本の誇る世界的なオンド・マルトノ奏者の原田節さんです。
フランスの電子楽器オンド・マルトノの第一人者が日本の原田さんというのは知りませんでした。面白いものですね。シンセの第一人者は富田勲さんでしたし、電子楽器は日本人に向いているのでしょうか。
ロマン派的なサウンドに比べると私には大そう心地よく響きます。フランク・ザッパ的と申しますか、ある種のロック的な感覚です。全10楽章というところも聴きやすいですし、各楽章でそれなりに大いに盛り上がりますから、聴いていて飽きません。
ぜひコンサート・ホールでオンド・マルトノの音色とともに経験してみたいです。
Messiaen : Turangalila-Smphonie / Riccardo Chailly, Royal Concertgebouw Orchestra, Jean-Yves Thibaudet, 原田節 (1993 Decca)
オケは違いますが。