$あれも聴きたいこれも聴きたい クラシック界に名高いウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニュー・イヤー・コンサートは、年末年始の恒例行事という意味では紅白歌合戦と同じようなものでしょうか。紅白は53年から、こちらは39年からと歴史はニュー・イヤー・コンサートの方が古いです。

 今でも開催されていて、全世界40か国以上に中継されているというモンスター行事だということです。見たことありませんでした。自らの不明を恥じるのみです。

 このコンサートではワルツの方のシュトラウス一家の曲が中心に演奏されることになっていて、シュトラウス家の権威の方々が毎年選曲にあたるそうです。しかし、アンコールの最後に「美しき青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」が演奏されることは恒例になっているようです。

 ヴィリー・ボスコウスキーは、1955年から1979年までこのコンサートの指揮者を務めています。25年間です。ボスコウスキー家のお正月は長らく父親のいないお正月だったことになります。

 それだけ長くやっていますから、彼が始めたアンコールでの新年の挨拶などは恒例行事となって、のちの指揮者たちをも従わせることになりました。まさにニュー・イヤー・コンサートの顔だったわけですね。

 この作品は、ボスコウスキーの最後のニュー・イヤー・コンサートをライブ録音した作品です。と同時にデッカによる初のデジタル録音作品です。どちらも歴史的な意味がとても大きいです。名盤となるべく祝福されたアルバムだと言っていいと思います。

 曲目は、シュトラウス一家の作品がほとんどです。そのため、ワルツやポルカばかりで占められています。正月早々、陰気な歌は聴きたくないというのは万国共通だということでしょう。迷いがなく、とても楽しげな雰囲気が漂っています。

 座って聴くのではなくて、踊りながら聴いた方がよいのではないかと思います。最初からコンサートだったようですが、19世紀には皆さん踊りながら聴いていたのではないでしょうか。今でいうクラブ音楽ですね。

 そんな中、「美しき青きドナウ」は、極端なクラシック音痴の私でさえ、曲名まで知っている超有名曲です。ワルツ王ヨハン・シュトラウスⅡ世の代表曲ですし、テレビにドナウ川が映る際には90%以上の確率でこの曲が流れます。小学校のお昼休みにも流れていますね。

 一方の「ラデツキー行進曲」はワルツの父ヨハン・シュトラウスの代表曲で、元気な行進曲です。曲名は知りませんでしたが、曲はよく知っています。運動会の定番曲です。玉ころがしとか騎馬戦が終わって、選手を退場させる時によく鳴っています。つい小走りになってしまう曲ですね。

 濃厚にお正月の雰囲気が漂っています。炬燵に入って、お屠蘇でいい気分になって、横になって聴くのが一番いいと思います。

New Year's Day Concert in Vienna / Willi Boskovsky, Vienna Philharmonic (1979 Decca)